
熟字訓(じゅくじくん)って何だっけ?

五月雨とか、小豆とか、2字以上の漢字の組み合わせで特別な読み方の熟語のことだね。「熟字訓」という単語自体、教育に携わっていない限りあまり耳にしない言葉だから少し分かりにくいよね。詳しく説明するよ!
1. 熟字訓とは?簡単にわかりやすく解説
「熟字訓(じゅくじくん)」とは、2文字以上の漢字の組み合わせ(熟語)に対して、1つの訓読みが与えられている読み方のことです。通常、漢字には「音読み」と「訓読み」があり、たとえば「山」は「サン(音)」や「やま(訓)」と読みますが、熟字訓では熟語全体で1語として訓読みされます。
たとえば:
- 「海老」→ えび
- 「五月雨」→ さみだれ
- 「木綿」→ もめん
1文字ずつ訓読みしても意味がつながらないのが熟字訓の大きな特徴です。漢字の意味をあらわすというより、昔から使われてきた和語に漢字を当てはめたという歴史があります。
📌 ポイント:
- 熟語全体で訓読みする
- 一般的な読み方では想像しづらい
- 古くからの日本語の名残である
2. 熟字訓と当て字の違い
よく混同されるのが「当て字」です。違いは以下の通りです:
項目 | 熟字訓 | 当て字 |
---|---|---|
意味 | 熟語全体に訓読みがある | 音や意味だけを借りて漢字を当てた |
読み方 | 訓読み | 音読み・訓読みどちらもあり得る |
例 | 海老(えび)、五月雨(さみだれ) | 珈琲(コーヒー)、倶楽部(クラブ) |
つまり、「熟字訓」は日本語として定着している自然な読み方であり、「当て字」は意味や音に合わせて後から漢字を当てた表記です。
3. 小学校で習う熟字訓一覧(学年別)
小学校国語の授業では、主に3~6年生で熟字訓が登場します。中学受験でも頻出のため、一覧表で整理しておきましょう。
📘 小学生向け 熟字訓一覧表(よく出る語)
熟字訓 | 読み方 | 意味 | 学年の目安 |
---|---|---|---|
海老 | えび | 甲殻類の一種 | 3年 |
木綿 | もめん | 綿織物 | 4年 |
小豆 | あずき | 豆の一種 | 4年 |
五月雨 | さみだれ | 梅雨の時期の雨 | 5年 |
五月晴れ | さつきばれ | 晴れた5月の空 | 5年 |
雪崩 | なだれ | 雪が崩れ落ちる現象 | 5年 |
乳母 | うば | 他人の子を育てる女性 | 6年 |
凸凹 | でこぼこ | 高低がある様子 | 4年 |
団扇 | うちわ | あおぐ道具 | 4年 |
桟敷 | さじき | 観覧席 | 6年 |
✅ 学校では「漢字の読み方の特別な例」として習いますが、教科書内では読み仮名つきで登場することも多く、「熟字訓」という言葉自体は中学で本格的に登場します。
4. 中学受験・高校入試に出る熟字訓(難しい読み方)
中学入試では「読み方」問題に熟字訓がよく出題されます。以下は特に頻出・難読な熟字訓の一覧です:
熟字訓 | 読み方 | 意味 |
---|---|---|
河原 | かわら | 川の岸辺 |
固唾 | かたず | 息をのんで見守る様子 |
早乙女 | さおとめ | 田植えをする若い女性 |
白湯 | さゆ | 沸かして冷ました湯 |
流石 | さすが | 思った通り |
乙女 | おとめ | 若い女性 |
居士 | こじ | 在家の仏教信者 |
北風 | きたかぜ | 北から吹く風 |
海女 | あま | 海に潜って漁をする女性 |
桟敷 | さじき | 見物席・観覧席 |
5. 分野別 熟字訓一覧表(生き物・季節・自然)
🐟 生き物の熟字訓
熟字訓 | 読み方 | 意味 |
---|---|---|
海老 | えび | 甲殻類の一種 |
雑魚 | ざこ | 小魚 |
海女 | あま | 潜水して漁をする女性 |
鯨波 | とき | 大声・怒号 |
飛鳥 | あすか | 鳥の一種/古代の地名 |
🌸 季節・自然の熟字訓
熟字訓 | 読み方 | 意味 |
---|---|---|
五月雨 | さみだれ | 梅雨の雨 |
北風 | きたかぜ | 北からの風 |
河原 | かわら | 川岸 |
海原 | うなばら | 広い海 |
紅葉 | もみじ | 秋の木の葉の色づき |
6. 熟字訓の使い方・例文
- **五月雨(さみだれ)**が続いて洗濯物が乾かない。
- **木綿(もめん)**のシャツは肌触りがよい。
- **固唾(かたず)**をのんで試合の行方を見守る。
- **流石(さすが)**は一流選手だと感心した。
7. 熟字訓クイズ(小学生~中学生レベル)
Q1. 「海老」はなんと読む?
→ えび
Q2. 「乳母」は?
→ うば
Q3. 「五月雨」は?
→ さみだれ
Q4. 「河原」は?
→ かわら
Q5. 「固唾」は?
→ かたず
8. 名前・地名・県名に使われる熟字訓
熟字訓は地名や人名にも多く使われています。
熟字訓 | 読み方 | 種別 |
---|---|---|
愛媛 | えひめ | 県名 |
讃岐 | さぬき | 旧国名 |
飛鳥 | あすか | 地名・人名 |
早乙女 | さおとめ | 姓・名前 |
如月 | きさらぎ | 月の名前 |
9. 覚え方とコツ|音読み・送り仮名との関係
- 熟字訓は訓読みベースなので、和語として丸ごと覚えるのがコツ。
- 音読みとは無関係なので、漢字を一文字ずつ読むより「単語」として記憶。
- 「五月雨(さみだれ)」など語源や季節との関連を知ると記憶が定着しやすい。
10. 大人が知っておくと役立つ熟字訓
新聞・ビジネス文書・文学作品にも頻出です。たとえば:
- 為替(かわせ)
- 延納(えんのう)
- 納屋(なや)
- 浮気(うわき)
漢検でも頻出のため、大人の学び直しにも必須です。
まとめ|熟字訓を知ると日本語がもっと面白くなる
熟字訓は、日本語の奥深さと歴史を映す鏡のような存在です。小学校では一部しか扱いませんが、中学受験・高校入試・漢検・一般教養まで幅広く役立ちます。「漢字=音読みと訓読み」と思っていた人も、熟字訓を知ると日本語の新しい面白さに出会えるでしょう。
📚 おすすめ活用法
- 家庭学習では「熟字訓クイズ」を活用
- 読書中に出てきたら「なぜこの読み?」と調べてみる
- 名前・地名などにも目を向けて語彙を増やす