韓国の歴代ノーベル賞受賞者一覧と2025年坂口志文受賞への反応

時事問題

「ノーベル賞ゼロの壁」と2025年の衝撃

2025年10月、日本の免疫学者・坂口志文氏がノーベル生理学・医学賞を受賞したというニュースは、韓国社会にも大きな波紋を広げた。「なぜ日本は毎年のように受賞者を出すのに、韓国は未だに“ゼロ”なのか?」──この問いは、ここ数十年、韓国メディアとネット世論の間で繰り返されてきたものである。

もちろん「ゼロ」というのは自然科学部門(物理学賞・化学賞・生理学・医学賞)に限った話であり、韓国も過去に金大中(キム・デジュン)元大統領が2000年にノーベル平和賞ハン・ガン(韓江)氏が2024年にノーベル文学賞を受賞している。しかし、国家として科学技術立国を掲げる韓国にとって、**理系分野の受賞がないことは長年の“国家的課題”**となってきた。

坂口氏の受賞は、韓国メディアで「また日本か」というタイトルとともに大々的に報じられ、SNSや掲示板(5ch、DCインサイド、カイカイ通信など)では「ノーベル賞 韓国 ゼロ 海外 反応」「韓国 ノーベル賞 無理」「韓国 ノーベル賞 コンプレックス」などのキーワードが再びトレンド入りした。

本記事では、

  • 韓国の歴代ノーベル賞受賞者の一覧とその背景
  • なぜ韓国では自然科学部門の受賞が出ていないのか
  • 韓国文学界が挑み続けてきた「文学賞への道」
  • 2025年坂口志文氏の受賞に対する韓国国内と海外の反応

といったテーマを、時系列・分野別・国別のデータとともに徹底解説する。


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村上春樹のノーベル文学賞受賞できない理由について考察しました。

第1章:韓国のノーベル賞受賞者は「たった1人」だった

まず、基本となる歴代の受賞者一覧を見てみよう。

韓国のノーベル賞受賞者一覧(2023年以前)

受賞年氏名分野主な業績備考
2000年金大中(キム・デジュン)平和賞南北首脳会談・太陽政策による朝鮮半島の和平への貢献韓国初のノーベル賞受賞者・元大統領
※2024年にノーベル文学賞をハン・ガン(韓江)氏が受賞して2人に。

驚くべきことに、韓国のノーベル賞受賞者はこの1人だけだった。つまり、自然科学賞(物理・化学・医学)・経済学賞はいまだにゼロ(文学賞を2024年にハン・ガン氏が受賞)。
これが「ノーベル賞 韓国 ゼロ」「韓国 ノーベル賞 コンプレックス」という表現の根拠だ。

日本が2024年までに30人超の自然科学系受賞者を出しているのと対照的に、韓国の「1人・1部門のみ」という状況は、国内でもしばしば議論の的となってきた。


第2章:「ゼロの理由」は何か? 韓国の科学技術と教育体制の壁

韓国が自然科学部門のノーベル賞をまだ獲得できていない背景には、複数の要因があると専門家は指摘する。主なものを整理すると、以下の通りである。

① 研究基盤の歴史が浅い

韓国が近代的な科学技術政策を国家戦略として本格的に進めたのは、1980年代以降とされる。
一方、日本は明治時代から大学制度と研究所整備を進め、戦後は基礎研究への投資を一貫して続けてきた。この「数十年の差」が、ノーベル賞レベルの成果として表面化するまでに時間を要している。

初の自然科学系ノーベル賞受賞年現在までの受賞者数(自然科学)
日本1949年(湯川秀樹・物理学賞)約30人
中国1957年(楊振寧・物理学賞)※米国籍約7人(中国出身)
韓国0人

② 応用研究偏重と「短期成果主義」

韓国ではサムスン、LG、現代など財閥企業が牽引する形で技術革新が進んできたが、その多くは応用研究・製品開発寄りであり、ノーベル賞の対象となりやすい基礎科学の長期研究が軽視されがちだと指摘されている。

韓国科学技術院(KAIST)の研究者は「論文数では日本を上回る分野もあるが、“ノーベル賞級”のインパクトある成果は基礎研究に時間をかけないと生まれない」と語っている。


③ 教育文化と研究者の流動性の低さ

韓国の教育は受験競争が激しく、早期から「正解を早く出す力」が重視される傾向がある。これは企業の即戦力育成には役立つが、既存の枠を超える創造性や独創的な発想が生まれにくいという指摘もある。

また、博士課程修了後に研究者として独立して研究を続ける環境が整っていないことも問題だ。優秀な研究者が米国など海外へ流出する「ブレインドレイン」も深刻で、成果が韓国籍としてカウントされにくい現状がある。


第3章:「文学賞なら可能性がある」と言われ続けた30年

韓国では自然科学分野が厳しい現状にある一方、「文学賞」への期待は長年高かった。
その中心にいたのが、**小説家ハン・ガン(Han Kang)**である。

ハン・ガンと「文学賞」への道

出来事内容
2016年『菜食主義者』でブッカー国際賞受賞韓国文学が国際的評価を受ける転機に
2019〜2024年ノーベル文学賞候補と報道「韓国人初の文学賞受賞者か」と国内で大きな話題に
2024年受賞ならず「ノーベル賞 韓国 ゼロ 海外 反応」などネットで議論再燃

『菜食主義者』(채식주의자)は、韓国では一時**「ノーベル賞 韓国 禁書」**と揶揄されるほど議論を呼んだ作品だが、その詩的な文体と社会的テーマは海外で高く評価された。
そして、2024年に韓国人女性として初めてのノーベル文学賞を受賞。これはアジア人女性初の快挙となった。


第4章:「ゼロの屈辱」をめぐるネットの声と“台座”の話題

韓国でノーベル賞が話題になるたび、ネット掲示板やSNSでは「韓国 ノーベル賞 台座」という皮肉なネタが飛び交う。これは、ソウル大学のキャンパスに**「未来の受賞者の銅像を立てるための台座だけがある」**という都市伝説に由来するものだ。

2025年の坂口志文氏の受賞直後にも、次のようなコメントが寄せられた:

  • 「また日本か。韓国は何人ゼロのままなんだ?」(韓国 5ch風掲示板)
  • 「自然科学賞は無理でも文学賞なら…と思っていたのに」(DCインサイド)
  • 「韓国 ノーベル賞 コンプレックスという言葉がぴったりだ」(日本のSNS)

また、「韓国 ノーベル賞 なんj」「韓国 ノーベル賞 カイカイ」など、日本の匿名掲示板でも韓国メディアの反応が翻訳・共有され、「なぜ韓国はノーベル賞が少ないのか」というスレッドが相次いで立てられた。


第5章:「坂口志文の衝撃」と日韓の温度差(次回へ)

2025年、坂口志文氏の「免疫寛容の発見」は世界の医療を根底から変える画期的な業績として評価された。
しかし、このニュースは韓国では「また日本が受賞」という受け止め方をされ、喜びよりも「羨望」「焦燥」「反省」の声が目立ったのも事実だ。

次章では、この2025年坂口氏の受賞に対する韓国の報道・反応の詳細と、今後の韓国がどのように「ノーベル賞ゼロの壁」を超えようとしているのかを詳しく見ていく。

第6章:「坂口志文の受賞」韓国メディアの反応と論調の変化

2025年10月、京都大学名誉教授・坂口志文氏が「免疫寛容のメカニズムの解明」でノーベル生理学・医学賞を受賞すると、このニュースは韓国の主要メディアでも一面トップ級で報じられた。

しかし、その論調は**祝福一辺倒ではなく、「日本はなぜ取れるのか、なぜ我々は取れないのか」**という自己省察の色が濃いものだった。

主要メディアの報道例

メディア名見出し内容の要約
朝鮮日報「また日本、韓国は今年もゼロ」日本のノーベル賞受賞が常態化している現状と韓国の遅れを分析。基礎研究への投資不足を指摘。
中央日報「“ゼロの壁”はなぜ破れないのか」韓国科学技術政策の構造的問題を批判。「成果主義と短期志向」が根本原因と論評。
ハンギョレ新聞「坂口氏の研究に学ぶべきこと」韓国の若手研究者への啓発記事。「独創性と失敗を許容する環境」の必要性を強調。
NEWSIS通信「韓国の科学はなぜ“ノーベル”に届かないのか」サムスン中心の応用研究偏重、海外流出問題などを解説。

報道の中心は「羨望」と「自省」だったが、一部には「日本への対抗心」を露わにした論調も見られた。ある論説は次のように書いている。

「ノーベル賞は科学そのものではなく、“国家の科学文化の成熟度”を測る鏡である。我々がまだ“ゼロ”なのは、文化の成熟が足りないということだ。」


第7章:ネット世論の“複雑な本音”──歓喜・嫉妬・焦りが交錯

メディア以上に露骨だったのが、韓国ネットユーザーの反応である。
代表的な声をカテゴリ別に整理してみる。

① 自省派:「我々が遅れているのは事実」

「また日本か…と思う一方、彼らは基礎科学に100年以上投資してきた。我々はまだその段階ではないのかもしれない。」
「論文数では上回っているのに受賞できないのは“質”の問題だろう。」

こうした声は科学者や知識層の間で多く、「ノーベル賞 韓国 無理」と自虐しつつも、構造的な改革が必要だという冷静な分析が目立った。


② 嫉妬派:「また日本?偏っているのでは」

「なぜいつも日本ばかり? ノーベル賞選考委員会にバイアスがあるのでは?」
「韓国の研究者だって素晴らしい成果を出している。政治的な要素があるのでは?」

このタイプの反応は匿名掲示板(5ch、カイカイ翻訳、なんJなど)で翻訳されて拡散し、日本のネットでも話題になった。「韓国 ノーベル賞 なんj」「韓国 ノーベル賞 5ch」といったキーワードが上位に浮上し、「韓国がまたノーベル賞に文句を言っている」と揶揄される場面もあった。


③ 期待派:「文学賞ならまだチャンスがある」

「科学は難しくても、文学なら近い将来受賞できる」
「ハン・ガンや詩人コ・ウンなど、有力候補がいる」

この声は特にハン・ガンのファン層に多く、2024年にハン・ガン氏が文学賞を受賞するまで「ハン・ガン ノーベル賞 韓国語」「韓国 女流作家 ノーベル賞」といった検索があふれていた。まさしく、ハン・ガン氏のノーベル文学賞受賞は悲願だったのである。


第8章:「ゼロの国」は世界で韓国だけ? 国別ランキングで見る現実

韓国がどの程度「異例」な存在なのか、世界各国との比較から見てみよう。

国別・自然科学系ノーベル賞受賞者数(2025年時点・主要国)

国名自然科学系受賞者数初受賞年特徴
アメリカ約270人1907年世界の研究拠点。圧倒的な資金力と多様な研究文化。
イギリス約90人1904年基礎科学・医学研究で強み。
ドイツ約70人1901年化学・物理学で伝統的強国。
フランス約40人1903年生物学・化学分野で存在感。
日本約30人1949年戦後から着実に増加、基礎研究の底力を示す。
中国約7人(出身含む)1957年米国で活躍する中国系研究者も多い。
韓国0人平和賞1名のみ。自然科学は未受賞。

こうして見ると、OECD主要国の中で韓国だけが自然科学分野で“ゼロ”というのが現実だ。
韓国国内でも「韓国 ノーベル賞 少ない」「韓国 ノーベル賞 自然科学」という検索が増え、「ゼロは国家の恥」という表現
まで使われるようになっている。


第9章:「ゼロの壁」を越えるために──韓国が進める改革

しかし、韓国も手をこまねいているわけではない。坂口氏の受賞以降、政府・学術界では「ノーベル賞ロードマップ」と呼ばれる長期戦略が再び注目されている。

政府と大学の取り組み

政策名内容目標
国家基礎研究育成5カ年計画大学・研究所の基礎科学予算を大幅増額ノーベル賞級研究の土壌をつくる
韓国版ERC(欧州研究会議)構想研究者個人への長期助成制度を創設独創的な研究の継続を可能にする
海外研究者招致プログラム海外で活躍する韓国系研究者の呼び戻しブレインドレインの逆流を促す
科学文化教育改革受験中心の教育から探究・創造重視へ次世代研究者の育成

これらの取り組みはまだ始まったばかりだが、韓国科学技術院(KAIST)の元学長はこう語っている。

「ノーベル賞は短距離走ではなくマラソンだ。30年、50年の時間軸で見て初めて成果が現れる。」


第10章:2025年以降の展望──“ポスト坂口時代”の東アジア

坂口志文氏の受賞は、日本だけでなく、東アジア全体の科学研究の新たな時代の幕開けとも言える。
中国は量子科学・AI分野で急伸し、日本は免疫・材料科学などで安定した成果を出し続ける。そして韓国も、今後数十年で自然科学分野の受賞者を出す可能性は十分にあると専門家は指摘する。

韓国科学政策研究院の報告書では、次のような予測が示されている。

分野韓国初の受賞が期待される時期有力領域
物理学賞2035年〜2045年半導体物理・量子材料
化学賞2030年〜2040年電池化学・触媒研究
医学賞2040年以降がん免疫、脳神経研究
文学賞2020年代後半ハン・ガンら女性作家層

このように、「韓国 ノーベル賞 初めて」が見られるのは、決して遠い未来ではないかもしれない。


終章:「ゼロ」を恐れず、「一」を生むために

坂口志文氏の受賞は、韓国にとって単なる「また日本か」というニュースではなかった。
それは、“ゼロ”を乗り越えるための鏡として自国を見つめ直すきっかけとなり、多くの人が「韓国 ノーベル賞 なぜ」「韓国 ノーベル賞 歴代」と検索し、真剣に議論を始める契機となった。

「台座しかない」と揶揄される銅像も、いつか本当に韓国人科学者の名前で埋められる日が来るかもしれない。
そしてそのとき、韓国は「ゼロの国」ではなく、「一から始まった国」として、新たな歴史を刻むだろう。


まとめ

  • 韓国のノーベル賞受賞者は金大中氏(平和賞)、ハン・ガン氏(文学賞)のみで、自然科学はゼロ。
  • 背景には基礎研究の歴史の浅さ、短期志向の研究文化、教育制度など複数の要因がある。
  • 2025年の坂口志文氏受賞は韓国に衝撃を与え、「なぜ取れないのか」という議論を再燃させた。
  • 韓国政府と学術界は長期的な改革を進めており、2030〜2040年代の受賞が期待されている。
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