中学校の国語の教科書で習う物語作品は、数十年前から変わらずに残っているものも多く、今の子どもたちが使っている教科書と親が読んでいた教科書とを比べてみても、いくつか共通の作品を見つけることができます。
小学校の国語作品は、何度も音読をしたり劇の題材にしたりすることもあってか、大人になっても印象強く覚えている教材も多いですが、中学校の国語作品はほとんど忘れてしまっているという大人も多いです。
そこで今回は、大人が読んでも懐かしい「中学校国語の定番物語14作品」をまとめました。
どれもが教材として優れているため、物語の読み直しや発展的な読書活動など、国語の力を高める学習に役立ててください。
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目次
中学1年生の国語の物語5作品
少年の日の思い出
ヘルマン・ヘッセ/高橋 健二(訳)
物語はエーミールが幼少期に熱中していたチョウの採集を「嫌な思い出」として回顧するところから始まります。
食事をとることも忘れて、一日中チョウ集めに奔走していた頃とは打って変わり、いまとなっては思い出したくもない苦い記憶となった出来事とはなにか。
心情の変化が巧みに文章で表現されており、中学1年生の年頃の子どもにはありありと登場人物の気持ちが伝わってくる教材です。
全体としては少し暗い印象の作品ですが、だからこそ子どもにとって物語がリアルなものとして感じられ、その世界観に引き込まれていきます。
トロッコ
芥川 龍之介
良平という男の子が、村はずれにある工事現場のトロッコに憧れを抱き、無断で乗って怒られたり、見知らぬ土地まで出かけて泣いてしまったりと、中学生にとっても等身大の人物が描かれています。
筆者の少年時代にも思いを馳せながら読み進めていきたい作品です。登場人物の心情に合わせて情景描写がされているので、文章が持つ意味や言葉の広がりを知ることができます。
オオカミの友だち
木村裕一
映画化されたこともある「あらしのよるに」の作者が描く、ほっこりとした友情物語です。
本作ではオオカミとクマが出てきて、動物の種族を超えたあたたかい友情が垣間見えます。動物が主人公であるため、子どもにも読みやすく、小学生でも無理なく読み進めることができます。
大人になれなかった弟たちに
米倉 斉加年
戦時中の厳しい時代について描かれた作品で、男の子の視点で話が進んでいきます。当時がいかに貧しく、子どもたちが生きるだけで精いっぱいだったのかを、物語をとおして想像することができます。
中学1年生という多感な時期に、戦争のむごさや命の尊さを実感できる教材なので、今後も永く教科書として読まれ続ける作品でしょう。
空中ブランコ乗りのキキ
別役 実
サーカスの空中ブランコ乗りとして、みんなのスターだったキキが、自分にしかできなかった3回転宙返りを他の人に成功させられ、しだいに自分を見失っていきます。
結末の文章では、読み手によっていろんな解釈ができるので、国語のグループ学習や協働学習にも適しています。
中学2年生の国語の物語5作品
坊っちゃん
夏目 漱石
無鉄砲で悪さばかりして、親にも愛想をつかされた「僕」の生き方や考えが、夏目漱石ならではの小切れの良い文体のなかで巧みに表現されています。
教科書で掲載されている「坊っちゃん」の話は一部分で、話の山場も少なく、題名の認知度とは対照に、そのストーリーを正しく理解している大人は少ないという稀有な作品でもあります。
走れメロス
太宰 治
「メロスは激怒した。」で始まる文章はとても印象深く、王との約束を守るために必死で走るメロスの姿が力強い文体で描かれています。
正直者で後先考えずに行動するメロスの様子に、ハラハラドキドキ、ときにはもどかしさも感じながら、躍動感のあるアニメーションのように息もつかず読み進めることができます。
字のない葉書
向田 邦子
父親に対する思いやエピソードがつぶさに書かれたエッセイです。普段は厳格でまじめな父親が、集団疎開で家を離れていた幼い妹が帰ってきたときにはぼろぼろと泣いた様子を、思い出深く物語に収めています。生前の父親に対する作者の思い出が詰まった作品です。
2020年3月6日、JRAC第一回「親子で読んでほしい絵本大賞」にも選ばれました。読み聞かせの推進と絵本の普及を目的とした同賞で、「親子で読むのに素晴らしい感動する作品」として評価されています。
卒業ホームラン
重松 清
少年野球チームで万年補欠の智と、その父でもあり監督でもある徹の親子。小学6年生の最後の試合で息子を控えに入れなかったために、一人だけ試合に出られず終わってしまうところから物語は始まります。
中学生にとっては、小学校卒業当時を振り返りながら自分と智を重ねることができるため、登場人物の心情理解がしやすく、共感を覚えやすい設定です。
また同時に、智をメンバーから外すしかなかった父親の選択にも一定理解を覚え、少しずつ大人に近づいていることを自覚することもできるでしょう。
盆土産
三浦 哲郎
単身東京に出稼ぎに行っている父親が、お盆土産に買ってきたえびフライ。まだ一度も食べたことがないえびフライを中心に、父親思いの兄妹や家族のやさしさが描かれた心温まる物語です。
今の中学生が読むと、少し前の日本の様子や当時の暮らしがうっすらと想像でき、今とは違う風景を思い描きながら新鮮な心持ちで読み進めることができます。
中学3年生の国語の物語4作品
握手(「ナイン」)
井上 ひさし
病気になってしまったルロイ修道士が、死ぬ前に「私」や卒園生に会いに行くという設定で物語が書かれています。「ナイン」のなかに収録されています。
語り手は「私」ですが、物語の中心はルロイ修道士であり、病気を隠してみんなに会いに行っていた事実を後から知った「私」は、ルロイ修道士にぶつけられないやるせない気持ちを言葉やしぐさで巧みに表現しています。
故郷
魯 迅/竹内 好(訳)
子どもの頃とはまるで変わってしまった故郷とそこに住む人々の様子に、切なくむなしい気持ちになってしまう物語です。
舞台は少し前の中国ですが、人間関係の変化に共感できるところが多く、移り行く切なさが身に染めて感じられる作品です。
「ルントー」や「ヤンおばさん」といった個性的な登場人物も出てくるうえ、中学3年生の終盤で学習する教材でもあるので、今もなんとなくですが、忘れずに覚えている大人が多い教材でもあります。
おくのほそ道
松尾芭蕉
江戸時代の俳人である松尾芭蕉が、江戸から東北へと俳句の旅へと出かけ、その先々で読んだ俳句や感想がまとめられた旅の記録です。
「人生は旅そのものである」という言葉に芭蕉の人生観が表れており、国語の教材としても優れた作品です。
吾輩は猫である
夏目 漱石
「吾輩は猫である。名前はまだない。」で始まる冒頭文は誰もが知っている愛されしフレーズで、夏目漱石が始めて執筆した長編小説です。
語り手は猫ですが、物語に描かれているのは人間ばかりで、様々な登場人物の人間模様が垣間見えて実に面白い作品です。
ということで、中学校の国語の教科書に登場する名作物語を紹介しました。
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