センター試験の廃止や大学入学共通テストの英語民間試験の導入見送りなど、高大接続改革についての話題に事欠きませんが、意外と知られていないのが2021年度から「AO入試」が廃止され、新たに「総合型選抜入試」に生まれ変わるということです。
現行のAO入試は国公立大学でも実施されており、受験生は一般入試と併願すれば、計3回(AO入試/一般入試前期/一般入試後期)も志望校受験のチャンスを得られます。AO入試は大学側にも受験生側にもメリットがある試験です。
そこで今回は、AO入試がなくなるのはいつからなのか、また、AO入試が廃止されるに至った経緯や問題点、後継の「総合型選抜入試」はどのような試験なのかをまとめました。
AO入試は2020年度入試を最後にすでに廃止となっており、2021年度入試(2020年4月時点の新高校3年生)からは新しい「総合型選抜入試」を受験することとなる。
AO入試が廃止となった背景には、私立大学による学生の早期囲い込みや大学入学後の学生への教育が円滑にできていないという問題がある。
「総合型選抜入試」に変わったことで、AO入試と出願時期や合格発表時期が変更となっているため受験生は注意が必要である。
AO入試の後継「総合型選抜」の詳細!
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目次
AO入試の廃止はいつから?
AO入試が廃止になる年度
AO入試は「2020年度入試」を最後に廃止となりました。
つまり、今年の新学期から高校3年生になる学生が受験する「2021年度入試」では、AO入試ではなく、後継の「総合型選抜入試」に変わっています。
入試年度とはいつからいつのこと?
勘違いされやすいので補足しておきますが、「2020年度入試」とは「2020年度(2020年4月入学)の入学者を選抜する入試」です。
そのため、AO入試でいうところの「2020年度入試」とは「2019年8月~2020年3月に実施&合格発表されたもの」を指しています。
AO入試はいつから始まったの?
AO入試が初めて実施されたのは、1990年です。
アメリカの入試を参考とし、慶應義塾大学湘南藤沢キャンパスが日本で初めてAO入試を取り入れ、2000年度時点では大学入学者全体の1%程度でしたが、その後少しずつ全国に広がっていきました。
AO入試(えーおー入試)とは?
そもそもAO入試とは、「アドミッションズ・オフィス入試」の略称であり、大学側が独自に定めた「アドミッションポリシー(求める学生像を示した方針)」に基づき、多面的に学生を選抜する入試のことをいいます。
偏差値で測れるような学力試験を行わずに、高校時代の内申点や面接、小論文などを通じて学生の適性を判断することから、大学側は求める学生像を持つ受験者を選抜することができます。
AO入試と推薦入試の違い
推薦入試は高校の校長からの推薦を受けることで出願が可能となります。推薦入試は高校時代の学業やスポーツの結果といった過去の実績をもとに推薦されるのに対し、AO入試は学生の学びへの意欲や態度といった将来性を重視するところに違いがあります。
また、推薦入試は出願期間が11月以降という規定がありますが、AO入試は出願規定がないため、高校3年生の9月に合格者を出すケースも確認されています。
AO入試の問題点、課題
AO入試の問題点としてやり玉に挙げられるのが、私立大学を中心に学校経営を安定させるために早期に学生を確保しておく、いわゆる「青田買い」が全国で増えていることです。
大学によっては、AO入試による入学者が全体の約50%を占めることも当たり前となっており、早期に入学者が決定されるため、合格した受験生は高校の授業がおろそかになったり、入学前から課題を課す大学もあったりするなど、「AO入試を廃止すべき」という意見が増えています。
また、AO入試が「知識や技能」「思考力・判断力・表現力」を重視していないものと誤った認識を抱く学校や受験生も増えており、AO入試で入学した学生と大学との間にギャップが生じることも問題視されています。
総合型選抜入試(現行AO入試)の出願開始はいつから?
今年の受験生が注意しておかなければならないのは、「総合型選抜入試」の出願時期です。AO入試の後継としての位置づけですが、出願時期が変わっています。
出願時期 | 合格発表時期 | |
AO入試 | 8月 | 設定なし |
総合型選抜 | 9月以降 | 11月以降 |
また、AO入試と同じく、現行の推薦入試も「学校推薦型入試」に名称が変更され、出願時期は同じですが合格発表時期が変更されています。
出願時期 | 合格発表時期 | |
推薦入試 | 11月以降 | 設定なし |
学校推薦型 | 11月以降 | 12月以降 |
総合型選抜になることによる変更点は、各大学は「小論文やプレゼンテーション、実技、各教科テスト、資格・検定試験など」で評価するか、または「大学入学共通テスト」の結果を活用するか、いずれかの選択が必須となっているところです。
そのため、今年は従来のAO入試の内容・形式から大きく変更された総合型選抜入試を実施する大学が増えると予想され、情報をいち早く入手し、対策を講じる必要があります。
ということで、実はもうすでに廃止となっていた大学受験での「AO入試」についてまとめました。
新たに実施される「総合型選抜」と「学校推薦型」の入試については、受験生が自主的に情報を調べていく必要もあり、とくにスケジュールには注意が必要です。一般入試と並行しながら、無理のない学習計画&対策を組んでいくようにしましょう。
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