新型コロナウイルスの影響によりイベント自粛や式典中止が相次ぐなか、昨日とうとう東京オリンピックの延期が発表されました。世界的な感染拡大をうけての判断であり、1年後の2021年夏までに開催する方針です。
日本国内においては3月25日時点で東京一日の感染者数が過去最多を記録するなど、事態収束のめどはいまだ立っていません。
そんななか、来たる新学期スタートに向けて、政府は一斉休校を実施している全国の小中学校、高校、特別支援学校に対して、「学校再開ガイドライン」を3月24日に発表しました。
これにより、感染症対策に万全の策を講じながら、春休み終了後には通常どおりに学校の授業が再開されることになります。
果たして、どのような学校再開となるのか、いつから新学期は始まるのか、家庭で注意することや準備物など、小中学生のお子様を持つ保護者の方々が新学期に向けて気になるポイントをまとめました。
新学期以降の学校や授業
学校再開ガイドラインとは
再開後の日程やスケジュール
目次
新学期の学校再開はいつから?
新学期の開始時期としては、4月6日または7日に実施を予定している自治体が多いです。つまり、この日に「入学式」や「始業式」を予定しているということです。
ただし、通常どおりの実施ではなく、前年度の卒業式同様に、来場者や開催時間を制限する方法での開催が予定されています。
以下では、3月24日に新年度の入学式と始業式を行うと決定した、市立学校510校が臨時休校している横浜市の発表を例にまとめています。【参考:東京新聞WEB】
入学式の開催条件
入学式の開催予定日
・小・中・高校は4月6日または7日を予定。
入学式の参加者や条件
・在校生や来賓は参加しない。
・保護者は各1名のみ参加可能(小学校)。
・保護者は参加しない(中学校・高校)。
・時間を短縮して実施する。
始業式の開催条件
始業式の開催予定日
・小・中・高校は4月6日または7日を予定。
始業式の参加者や条件
・時間を短縮して実施する。
・校内放送などを活用する。
ただし、いずれも現在の社会情勢を受けての予定であり、今後の感染拡大状況などによっては変更する可能性があるとしています。
また、入学式と始業式以降では、①全面再開、②休校延長、③段階的再開のいずれかの実施を検討し、生徒が学校にいる時間を短縮したり、学年別に登校日をずらしたりするなどの処置も必要となる可能性があります。
各自治体によっても対応が異なっているので、お住まいの地域の発表を確認する必要がありますが、3月24日に政府によって示された「学校再開ガイドライン」は全国の学校に適用されるものなので、
学校再開に対して不安に思っている保護者の方は、実際にどのような感染症対策が実施され、学校の授業がどのように進められるのかを確認してみてもいいと思います。
「学校再開ガイドライン」とは?
「学校再開ガイドライン」とは、新学期からの学校再開を前提として、各地域および各学校が感染拡大対策に万全を期すように、学校運営上の注意点や行動指針を詳しく示したものです。
【参考:「新型コロナウイルス感染症に対応した学校再開ガイドライン」/文科省】
「3つの条件」の重なりを避ける
とくに、学校内でのクラスター(感染集団)を発生させないために、次の3つの条件が重ならないように十分な配慮をすることが求められています。
①換気の悪い密閉空間
②人が集まる密集空間
③近距離での会話や発声
①換気の徹底
学校の教室などでは、複数方向の窓を開けて風通しをよくし、こまめに換気をすることが徹底されます。
ウイルスは空気中に漂っている間も生存するという研究結果も出ていることからも、教室などの児童生徒が長時間過ごす場所はなるべく清潔な空気となるよう管理することが求められます。
②生徒どうしの距離を離す
教室のような多数の生徒が一度に集まる場所では、生徒と生徒の物理的距離を通常よりも広く取るように配慮がされます。
手を伸ばしたら容易に接触できてしまわないように、机やいすの位置を改め、必要な場合は1教室あたりの人数も調整をする必要がでてきます。
③近距離での会話をひかえる
濃厚接触という言葉があるように、感染者が非感染者に近づき、発話や発声をした場合に感染するリスクは高まるといわれています。
集団感染を起こさないためにも生徒どうしの距離を確認し、飛沫による感染拡大を防ぐねらいがあります。
感染症対策は現実的なものなのか
ガイドラインでは具体的に次のような感染症対策が推奨されていますが、それに対して「現実的ではない」という意見も出ています。
・家庭での毎朝の検温
・マスクを着用する
・消毒液による清掃
家庭での毎朝の検温
毎朝家で体温を測り、風邪の症状が出ていないかを確認することが求められますが、「朝の忙しい時間帯にどれだけの家庭が管理徹底できるのか」と疑問視する人もいます。
これについては、「登校前に確認できなかった児童生徒については、保健室などでの検温および風邪症状の確認」をするとガイドラインに明記されており、生徒の家庭状況に応じて学校現場でのサポートがなされます。
マスクを着用する
現状、ドラッグストアやスーパーなどでマスク品薄状態が続いており、毎日子どもが着用するために必要な量を確保できるのか、疑問視する声もあがっています。
これについては、3月15日からマスクの高額転売を禁じる法律が施行されたことや、3月24日からシャープが1日15万枚のマスク生産を始めたことで、次第に市場に安定した量が流通するようになると予想されています。
消毒液による清掃
マスク同様に、市場の品薄状態が続いているのがアルコール消毒液です。医療機関でもストック不足が問題にもなっており、はたして全国の学校で使用するための安定した量を確保できるのか、と疑問に思う人もいるでしょう。
これについては、「消毒用エタノールや次亜塩素酸ナトリウム等」を使用することをガイドラインで明記しています。次亜塩素酸ナトリウムとは、市販の家庭用塩素系漂白剤を希釈したもので代用できることから、学校でも十分な清掃が可能となります。
学校再開後の動き
学校が再開されたとしても、すでにさまざまな課題が山積しており、通常とは異なる学校運営がされていきます。
未習への配慮、カリキュラム修正
臨時休校によって、児童生徒は前年度の授業を十分に受けることができておらず、学校再開ガイドラインでは「学習に著しい遅れが生じることのないよう,可能な限り,令和2年
度の教育課程内での補充のための授業や教育課程に位置付けない補習を実施する
こと」としています。
つまり、学校が再開されたといってすぐにその新学年の教科書や教材をもとに授業がされるのではなく、前年度に学ぶ必要があった内容を復習するような形で授業が開始されるケースが考えられます。
新中学1年生や新高校1年生で前年度に未習事項がある場合、進学先の学校に学習状況を共有し、生徒に対して必要な措置を取るようにも要請されています。
全国学力テスト延期
毎年、全国の小学6年生と中学3年生を対象に実施している「全国学力テスト(全国学力・学習状況調査)」ですが、3月17日に正式に延期となることが発表されました。
2020年度に実施すること自体も含めて検討している段階なので、新型コロナウイルスの感染状況によっても今後対応が変わってきます。
「全国学力テスト(全国学力・学習状況調査)」とは、毎年4月に小学校・中学校の約200万人の児童生徒を対象に、国語と算数(数学)の試験を実施し、生徒の学力や学習状況を調査するもの。
修学旅行延期
毎年、修学旅行は5月や6月に実施されることが多いのですが、文部科学省が全国の小・中・高校に対して、「中止ではなく延期」にするよう要請を出しました。
修学旅行は生徒の心情を考慮すると必ず実施すべきものであり、たとえ現時点で中止の判断をしていたとしても、感染終息後に実施を検討するよう求めています。