小学生の習い事の傾向を見ると、保護者が「子どもにどのような力を付けさせたいのか」、「学校外でどのような発展的学習をさせたいのか」が見て取れます。
最近では、中学校の体育でダンスが必修化されたことでダンス教室に通う子どもが増え、2020年からのプログラミング教育必修化を受けて、プログラミング教室に通う子どもが急増しています。
教育に対する保護者の関心や不安が顕著に現れるのが子どもの習い事ですが、実は子どもたちの人気上位に入ってくる習い事は昔から大きく変わっていないのも事実です。
そこで今回は、最新の2020年の小学生の習い事ランキングを紹介したうえで、それぞれの習い事が子どもや保護者に人気の理由、その習い事に通わせることで得られる資質や能力、必要性などについてまとめました。
男の子・女の子の習い事TOP5
習い事から得られる資質・能力
習い事別のメリット・必要性
なお、習い事ランキングは以下の資料をもとに紹介しています。詳細は、それぞれのリンクからもご確認ください。
近年の中学入試国語科では、大学入試改革の影響を受けて思考力系の問題を出題する学校が増えています。今後は知識での差はつきにくく、思考力を問う問題の出来不出来が受験の結果を左右しかねない状況です。どんな問題が出題されるか気になる方は、Z会の無料資料請求で「ほねぶとワーク」という思考力系の問題だけを集めた問題集がもらえるので、この機会に情報収集に利用してみてください。
2020年最新版 小学生の習い事ランキングTOP10
2位…学習塾
3位…通信教育
4位…ピアノ
5位…英会話
6位…習字・書道
7位…サッカー
8位…そろばん
9位…体操
10位…ダンス
小学生の習い事として圧倒的に人気なのが「水泳」です。小学生の約4割以上がスイミングスクールに通っているというデータが出ました。親が子どもだった時代から大きく変わることはなく、依然としてスイミングスクールに通う小学生は多いという結果です。
次いで高かったのが「学習塾」「通信教育」です。中学受験を考えているご家庭はもちろん、最近では「中一ギャップ」と言われる中学校入学時のつまずきも問題視されていることもあり、小学5〜6年生から通塾する子どもが増えています。ベネッセHDの「進研ゼミ 中学講座」の会員数も増加傾向にあり、とくに紙の教材ではないデジタル教材を用いた講座が人気になっています。
この数年でゆるやかに伸びているのが「英会話」「英語塾」です。今年から小学校で英語が教科化することや、大学入試改革の一環で英語4技能評価が世間の関心を集めているように、「話すこと・聞くこと」領域の英会話を小学生のうちから習わせたい家庭が増えています。読み書きを中心とした英語塾よりも英会話のほうが人気が高いようです。
「習字・書道」「そろばん」は、小学生の主要教科である国語や算数の基礎を身につけさせるねらいから、昔と変わらず小学生に人気の習い事です。
「ダンス教室」も小学生の習い事として人気が出ています。冒頭でも触れたように、2012年から中学校の体育の授業でダンスが必修化されたこともあり、数年前からランキング上位に食い込んできています。ダンスは基礎体力を身につけられるという観点から、保護者の間で水泳に近いような位置付けに変わってきているのかもしれません。
男の子に人気の習い事TOP5
2位…学習塾
3位…通信教育
4位…英会話
5位…サッカー
小学生の男の子だけで見た場合に、人気を集めている習い事が「サッカー」です。最近では、都心でもフットサル(5対5で競技するサッカー)ができる施設やコートが増えており、大人の競技人口の増加に比例して、子どもの習い事としても人気になっています。
女の子に人気の習い事TOP5
2位…ピアノ
3位…学習塾
4位…英会話
5位…習字・書道
女の子の習い事で昔から根強い人気を誇るのがピアノなどの「音楽教室」です。習い事はお母さんが中心となって決める場合も多く、勉強とは違う感性や感覚を磨くためにも女の子に音楽を習わせるご家庭は多いです。
習い事別のメリット・必要性・おすすめの理由
水泳のメリット(小学生人気1位の習い事)
水泳のメリットとしては、まだ未発達な子どもの身体に負担をかけることなく、全身運動ができるところです。筋肉や関節にダメージを与えずに、心肺機能を鍛えることができるので小学生におすすめです。
また、他者との接触によるケガの心配がなく、大人の管理が行き届いた屋内スポーツでもあるため、保護者も安心して通わせることができます。
水泳は学校の授業で必修なことはもちろん、ある意味生涯スポーツでもあることから、幼少期に水に慣れさせておいてそれなりに泳げるようになってほしいと願う保護者も多く、必要性の高い習い事だといえます。
学習塾のメリット(小学生人気2位の習い事)
学習塾のメリットとしては、中学受験対策とは別に、いわゆる偏差値で測れない能力や資質を養うことができるところです。
メリット①学習習慣の定着
小学生の場合、塾に通っていないと学校以外で机に向かって勉強をすることは少なく、家庭学習をする場合には保護者の管理や指導がある程度必要になってきます。
学習塾の場合は、決められた曜日や時間に学校以外で勉強する習慣が持てるので、中学校に進学してから学習量が増えた場合でも、十分に対応できる学習習慣が形成されます。
メリット②テスト形式に慣れる
通塾すると定期的に行われる塾内模試や学力テストを受けることになります。中学校では成績評価の基準となる定期テストや実力テストが実施されるので、小学生のうちからテスト形式やテスト対策勉強そのものに慣れておくことで、中学校でつまずくことが少なくなります。
そのほかにも、他の習い事との違いとしては、明確に「成績」や「順位」といった評価の指標が定まっていることから、いたずらに習い事をさせるのではなく、どれだけ子どもが成長したのかを保護者も判断できます。子どもの性格や特徴をつかむうえでも、小学生のうちから学習塾に通わせることにメリットはあります。
通信教育のメリット(小学生人気3位の習い事)
通信教育は、学習塾に比べて教材費が安く、送り迎えの負担もないことから、継続した場合にはコスパのよい習い事だといえます。「継続した場合には」と付け加えているとおり、通信教育は家庭内で学習習慣を作る必要があり、保護者の管理がなければまず継続することは難しいです。
ただし、継続できた場合には、家庭学習での集中力や自発的な学習習慣を持てることから、中学校進学後も必ず役立ってきますし、学習塾に入る前に子どもの苦手や得意分野を知るためにも、一度は通信教育に取り組んでみることをおすすめします。
通信教育を始めるときは、まずは期間を定めましょう。「いつまでがんばるか」といった短期の目標を定めて、十分に継続できた場合には子どもにご褒美をあげるなど、工夫が必要です。
ピアノのメリット(小学生人気4位の習い事)
ピアノ教室のメリットは、音楽的な感性を養うだけでなく、練習を繰り返し課題をクリアしていく体験が、忍耐力や精神力を高めてくれるところです。
ピアノ教室は基本的に、教室で与えられた課題を自宅で練習してからレッスンを受けていく形式です。
先生が厳しいことも多く、正しく演奏できるまで失敗を重ねて試行錯誤する経験は、ピアノ以外の様々な場面でも生かされます。
英会話のメリット(小学生人気5位の習い事)
英会話のメリットは、学校とは違ってよりネイティブな英語を聞いて、実践的に英語を学習できるところです。
2020年からは小学校でも英語が教科化しますが、外国人ALTによる授業もあれば、日本人の先生による英語の授業も多くなります。英語を音声として聞く場合は、よりネイティブな英語であるに越したことはなく、英会話であれば外国人講師やネイティブに近い発音の講師を選択できます。
小学校低学年だと、歌やゲームといった遊び感覚で英語に触れる機会も得られるため「勉強感」がなく、子どもも比較的楽しんで英会話教室に通うことができます。
習字・書道のメリット(小学生人気6位の習い事)
習字や書道のメリットはなによりも、正しくきれいな字が書けるようになるところです。また、日常とは違う静かな環境に身を置くことから、子どもの集中力や落ち着きも付くようになります。
文字はどのような学習にもかかわってきますし、「きれいな字が書ける」ということで文章を書くのが得意になる子どもも多いです。字がきれいだと周りからも褒められやすく、学習へのモチベーションにもつながりやすいことから最もおすすめできる習い事です。
サッカーのメリット(小学生人気7位の習い事)
サッカーのメリットは、運動機能の発達はもちろん、チームコミュニケーションやチームワークといった団体スポーツならではの能力を養えるところです。
味方11人という多人数で、それぞれに役割をもって競技するスポーツ性から、チームとして機能することの大切さを体感することができます。部活動でもサッカー部がある中学校は多く、習い事がそのまま部活動につながることへの安心感もあります。
また、メジャースポーツの一つでもあり、近年は日本人サッカー選手がたくさん海外でも活躍していることから、子どもが海外を身近に感じて、よりグローバルな視野を持つことにもつながってきます。
そろばんのメリット(小学生人気8位の習い事)
そろばんのメリットは、小学生の早いうちから正確かつ素早く計算する能力を獲得できるところです。
小学校で主要教科となる算数では、まずは計算力が求められます。素早く正確に計算できる能力があれば、小学校の算数でつまずくことも少なくなり、「周りよりもできる」という成功体験がその後の学習意欲全体にもかかわってきます。
体操のメリット(小学生人気9位の習い事)
体操教室のメリットは、子どもの体幹や柔軟性を高めて、様々なスポーツの下地となる基礎体力を付けられるところです。
水泳と同じく全身運動なため、体全体に必要な筋力を付けられるとともに、マット運動によって柔軟な筋力、正しい体の使い方を覚えます。中学生からは部活動も始まり、他者と体の接触機会も増えますが、ケガをしにくい体づくりをすることができます。
デメリットとしては、月謝が少し高いことや体操教室がなかなか身近にないため、送り迎えなどが必要になりやすいことです。
ダンスのメリット(小学生人気10位の習い事)
ダンス教室のメリットは、音楽のリズムに乗って楽しみながら、身体全身の使い方や基礎体力を身に付けられるところです。
鏡を見ながら正しい動きを体で表現することには頭も使いますし、適切な身体感覚を覚えることができれば、そのほかのスポーツにも応用が利きます。中学生になれば授業でもダンスが始まることから、小学生の早いうちから準備しておくことが必要です。
2020年以降で注目の習い事
プログラミング教室
2020年の小学校からプログラミングが必修化となり、小学5~6年生を中心に授業でプログラミングを学習することになります。教科ではなく、算数や理科などの各教科のなかで学習するに留まりますが、保護者の間ではどのような授業が始まるのかイメージができず、その不安が表れるかたちでプログラミング教室に通う生徒が増えています。
学校の授業とは違い、企業が運営するプログラミング教室では独自のプログラミング教材や専門的なロボットを使うことが多く、学校では体験できないプログラミング学習を受けることができ、体験者の満足度も高いといわれています。
プログラミングがあまりにも未知な存在なため、勝手に難しい印象を持ってしまい、どんどん苦手意識を高める大人も多いことから、子どもはもちろん、大人もプログラミング教室を体験してみることもオススメします。
今なら無料で体験できるプログラミング教室もあるので、食わず嫌いすることなく、子どもと一緒になってプログラミングを勉強していくといった心構えで春を迎えましょう。