2019年11月、2020年度大学入学共通テストとあわせて実施予定だった英語の外部民間試験の導入が見送られ、2024年度からの実施を目指すこととなりました。
英検は従来型とは違い、一日で4技能を評価できる「英検S-CBT(英検20201day S-CBT)」を新たに導入予定でしたが、2020年度の受験生は必ずしも英検を受験しなければならない、というわけではなくなりました。
ですが、英検S-CBTは従来の英検よりも安い費用で受けられるうえ、従来の英検と同じ難易度、同じ資格認定となるなどメリットが多いですし、英検の資格保有による優遇措置を設けている大学もあることから、一つの機会として受検してみるのもいいでしょう。
そこで今回は、「従来型の英検」「英検S-CBT」「英検CBT」の3つを項目ごとに比較し、それぞれの違いをわかりやすくまとめてみました。
記事を読んでわかること
従来の英検とCBTとS-CBTの違い
(日程、試験様式、実施回数、対象、会場、費用)
英検S-CBTのメリット
英検S-CBTの日程、申込
目次
そもそもなぜ英語で外部試験を導入しようとしているのか?
2024年度まで先送りとなった大学入試での英語民間試験の導入ですが、そもそもなぜ民間試験を導入しようとしているのでしょうか。文部科学省の「英語教育の在り方に関する有識者会議」のまとめでは、次のようなメリットがあるとしています。
外部資格・検定試験のメリット
・4技能の総合的な評価
・試験の一貫性、実施可能性の確保
・生徒・学生の英語学習への動機づけ
・「聞く」「話す」を中心に教員の指導改善
現在の大学入試の英語では「リーディング(読むこと)」「リスニング(聞くこと)」の2技能での評価が色濃く、「ライティング(書くこと)」「スピーキング(話すこと)」が正しく評価されていないと指摘されており、外部民間試験を活用して、「ライティング」「スピーキング」を含めた4技能で正しく評価できるようにするのがねらいでした。
そして、大学入試を変えることで、知識中心となっている学校教育全体の指導改善にもつながるという考えから、すでに民間で4技能評価が実施されている英語資格・検定試験の導入に踏み切ったのです。
ところがご存知の通り、受験の公平性を担保できないなどの入試設計の甘さが浮き彫りとなり、2019年11月に急遽見送ることが発表されました。
大学入学共通テストとの関係
英語の外部民間試験の導入は2024年度まで見送りとなりましたが、問題はそれだけでは終わりません。
今回の大学入試改革で従来の大学入試センター試験を廃止し、ライティングやスピーキングは民間試験で測ることを前提として、新たに大学入学共通テストを設計しています。
当初の大学入試改革
大学入試センター試験
・「筆記 80分」
・「リスニング(英語のみ)60分」
↓
大学入学共通テスト
①共通テスト
・「筆記(リーディング)80分」
・「リスニング(英語のみ)60分」
②民間の資格・検定試験(英検など)
*各大学は①②のいずれかまたは両方を利用できる
つまり、外部試験が見送りとなったことにより、もともとの大学入試改革の根幹であった「4技能評価」が破綻しており、大学入試改革とはなんだったのかという疑念が生じてしまっているのです。
従来の英検とCBTとS-CBTの違い
「従来型の英検」「英検CBT」「英検S-CBT」の3つの違いを、それぞれの項目別に比較しています。
従来の英検 | 英検CBT | 英検S-CBT | |
日程 | ・一次試験 「リーディング」 「ライティング」 「リスニング」・二次試験 「スピーキング」 |
一日で4技能すべてを実施する | 一日で4技能すべてを実施する |
様式 | PBT(すべて紙に手書き)
*「スピーキング」は対人面接 |
CBT(すべてPC操作)
・マウス操作 ・キーボード入力 ・音声吹き込み |
CBT+PBT(PC操作+手書き)
・マークシート記述 ・手書き記述 ・音声吹き込み |
回数 | 年間3回 | 年間3回 (毎月実施/土日実施なし) |
年間2回 (毎週土日実施) |
対象 | 一般/受験生 | 一般/受験生 | 受験生のみ (2021年以降に一般開放予定) |
可能級 | 5級~1級(全級) | 3級~準1級 | 3級~準1級 |
会場 | 47都道府県 (216会場) |
17都道府県 (56会場) |
47都道府県 (260会場) |
費用 | 準1級 8,400円 2級 7,400円 準2級 6,900円 3級 5,900円 |
準1級 7,400円 2級 6,400円 準2級 5,900円 3級 4,900円 |
準1級 7,900円 2級 6,900円 準2級 6,400円 3級 5,400円 |
難易度 | 従来型と同じ | 従来型と同じ |
英検S-CBTのメリットとは
英検S-CBTは一日で試験が終了する
従来型の英検では、一次試験として「リーディング」「ライティング」「リスニング」の3技能を受験し、一次試験合格者には約1か月後に実施される二次試験の「スピーキング」を対人面接で実施する二段階の試験となっています。
大学入学共通テストの外部試験として従来型の英検が採用されなかった理由の一つにこの二段階受験があり、解消する手立てとして新設されたのが英検CBTと英検S-CBTです。いずれも、4技能すべてを一回の約2~3時間で終わらせることができるため、大学受験をする高校生にも対応しやすい日程になっています。
英検S-CBTはパソコン操作が苦手でも大丈夫
英検CBTはCBT(Computer Based Testing)と名が付くとおり、すべての試験をコンピュータのみで行う必要があり、選択問題をクリックするためのマウス操作はもとより、ライティング問題ではキーボードでタイピングをする必要があります。
一方で、英検S-CBTは試験様式としては英検CBT同様に、区切られた個室環境でコンピュータを用いて試験を受けますが、回答の際には、従来どおりのマークシートや手書きで記述するなど、コンピュータ操作が苦手な学生も安心して受験することができます。
英検S-CBTは併願できるうえに、毎週土日も実施されている
従来型の英検、英検CBT、英検S-CBTは併願することができます。つまり、年に最大3回英検を受験するチャンスがあります。たとえ、英検S-CBTで不合格になっても、英検CBTは毎月1回実施されているので、都合を調整すればすぐに挑戦することができるのです。(例:4月に「英検CBT3級」を受験、 5月に「従来型英検3級」を受験、6月に「英検S-CBT3級」を受験)
また、英検S-CBTは英検CBTとはちがい、毎週土日にも開催されています。大学受験生である高校生には平日受験は難しい部分も多いことから、特別に配慮された日程となっているのです。
英検S-CBTは2020年現在は受験生のみ
英検S-CBTはもともと大学入学共通テストとあわせた外部試験として開発されたこともあり、あくまでも大学受験生のみを対象としています。ただし、今回の見送りを受けて、2020年度以降は順次一般にも開放する予定とされています。
英検S-CBTは全国47都道府県260会場で受験できる
英検S-CBTの最大の特長としては、全国のテストセンターで受験ができることから、最大112のエリア・260会場から受験地を選択することができるところです。英検CBTが17都道府県にしか対応していないことを考えると、地域格差によって受験機会が失われることを防いでくれます。
2020年3月2日以降に、英検CBTの会場が追加される予定です。公式サイトからの発表をご確認ください。【英検CBT】
英検S-CBTの受験費用は従来型よりも安くてお得
従来型の英検よりもはるかに手軽に受験できるのに、英検S-CBTの費用は従来型よりも安くなっています。
2020年1月15日に検定料改定がされましたのでご確認ください。【検定料改定】
英検S-CBTの申し込み・日程
2020年度第一回「英検S-CBT」(4~7月分)の一般申し込みの受付期間日程は下記のとおりです。
4月実施 | 2020年3月2日13時~ 2020年3月9日17時 |
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5月実施 | 2020年3月5日13時~ 2020年3月31日17時 |
6月実施 | 2020年3月5日13時~ 2020年4月30日17時 |
7月実施 | 2020年3月5日13時~ 2020年5月29日17時 |
詳細は公式サイトをご確認ください。
「英検2020 1day S-CBT 受験概要」
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