2021年度大学入試からAO入試が廃止となり、新たに「総合型選抜入試」が実施されることとなります。春から高校3年生となる生徒は、早ければ半年後の2020年9月には入試本番を迎えることとなり、早期の対策や準備が必要となってきます。
そこで今回は、新たに始まる「総合型選抜入試」について、出願時期や試験内容といった試験概要から、実際に受験生が対策を始めるうえで必要な期間やスタート時期についてまとめました。
総合型選抜はいつから?
総合型選抜の出願時期
総合型選抜の対策時期
総合型選抜の準備はじめ
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目次
総合型選抜入試とはなにか
総合型選抜入試とは、面接やプレゼンテーション、小論文などを取り入れて、大学側が求める学生像の受験者を、大学側が独自の基準を設けて選抜できる入学試験のことです。
2020年度入試を最後に終了したAO入試の後継として、2021年度入試(2020年9月〜2021年3月実施&合格発表)から新たに導入されました。
高大接続改革、および大学入試改革の一環でもある「大学入学共通テスト」と併せて新たな試験様式として導入され、偏差値にとらわれずに受験生の適性や将来性を判断して大学が選抜します。
従来のAO入試との違い
総合型選抜入試とAO入試の違いについて、総合型選抜入試では試験の評価方式を次のように定めています。
①大学側設定の試験
・小論文、プレゼンテーション
・口頭試問、実技
・教科に関連したテスト
・外部検定試験の成績 など
②大学入学共通テスト
上記①もしくは②のいずれかを評価することを必須とする。
【「総合型選抜における評価方法の改善点」/文科省】
総合型選抜入試の場合、合格発表時期は11月頃のため、翌1月に試験を予定している大学入学共通テストは活用することが難しいといえます。そのため、主に①の「大学側が独自に作成した試験」が中心になると考えていいでしょう。
また、受験者本人が記入した「活動報告書」や「学修計画書」なども積極的に活用するように明記もされています。
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総合型選抜入試の出願時期や試験日程はいつから?
総合型選抜入試は下記に定めるガイドラインを遵守しつつ、各大学によって募集時期や試験日時が定められます。【「総合型選抜の出願時期」/文科省】
総合型選抜入試のガイドライン
出願時期 | 9月以降(例:2021年度入試なら2020年9月以降) |
---|---|
合格発表時期 | 11月以降(例:2021年度入試なら2020年11月以降) |
2019年3月時点の調査では、全国の大学中(短大含む817校を対象)、2021年度入試の出願時期を「9月」とする大学が「59.5%」と最も高く、次いで「10月」が「10.8%」となっています。
また、合格発表時期については「11月」とする大学が「63.9%」と最も高く、「10月」が「4.7%」と続いています。
【参考:「2021年度入学者選抜に向けた各大学の検討状況に関する調査研究」】
つまり、総合型選抜入試は9月に出願が開始され、10月に試験実施、11月に合格発表という日程が一般的だといえます。
4月から高校3年生になった生徒は、志望する大学によっては総合型選抜入試の募集要項と試験日程が大学HPで公表されているので、必ず確認するようにしましょう。
一般入試との併願は可能?
総合型選抜入試と一般入試の併願は可能です。
一般入試の出願は「1月」がほとんどのため、総合型選抜入試の結果を受けてから出願する大学を選択することが可能です。
ただし、AO入試のそもそもの問題点でもあった「早期に大学が入学者を確保する」ことを避けるために、総合型選抜入試では出願時期だけでなく合格発表時期もあえて遅らせているので、
受験生は従来よりも過密な日程で、総合型選抜入試と一般入試を対策、受験しなければならなくなります。
もちろん試験日程は大学によっても違うので、志望する大学の一般入試日程もあわせて確認しながら、総合型選抜入試を受験できるようにスケジュールを立てることが必要です。
総合型選抜入試は、9月「出願」、10月「試験」、11月「合格発表」が一般的な日程となる。
総合型選抜入試と一般入試の併願は「可能」だが、過密日程となるので計画的な受験勉強と対策が必須。
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総合型選抜入試の内容や評価基準
総合型選抜入試の試験内容としては、大学側がオリジナルで作成した試験をもとに、「知識・技能/思考力・判断力・表現力/主体性」などで学生に適性があるかを評価します。
・小論文、プレゼンテーション
・口頭試問、実技、
・教科に関連したテスト など
先ほどの「2021年度入学者選抜に向けた各大学の検討状況に関する調査研究」によれば、「総合型選抜入試」では「面接」と「調査書」を試験に取り入れようとする大学が多いという結果が出ています。それぞれの評価観点は以下です。
試験方法 | 評価観点 |
---|---|
面接 | 思考力・判断力・表現力/主体性 |
調査書 | 知識・技能/主体性など |
調査書とは、高校での単位取得や出欠状況、定期テストの成績、生活態度などを示したもので、高校の担任教諭や学校事務局が受験生からの申請を受けて作成します。各教科の成績を5段階評価したものは内申点といいます。
文科省の発表では、現在主流となっている紙を郵送する仕組み(先生が大学に郵送)をやめ、調査書も電子提出できるように変えていく方針です。
したがって、1次試験で調査書による「書類選考」を行い(1次試験で「小論文」も同時に課す大学も多い)、通過者には2次試験で「面接」を実施するという形式が総合型選抜入試の典型となりそうです。
早稲田大学の総合型選抜入試
早稲田大学では2021年度入試より、一般入試や大学入学共通テストを利用した入試において、全学部を対象として、WEB出願時に受験生自らが「自身の主体性、多様性、協働性に関する経験」を記入するよう義務付けています。【早稲田大学】
これは、学校が作成する調査書とは別に、「思考力・判断力・表現力」を適切に評価するために設けられており、得点化はしないと明記されていますが、評価の観点の一つとして用いられると予想できます。
高校入学前後に、学校内外を問わず「主体性を持って多様な人々と協働して学ぶ態度」で活動・経験したことを、100文字以上500文字以内で記入する。
※この出願時の記述義務については、総合型選抜入試でも同様に課せられるのかまでは言及されていませんが、面接時には同様の観点で評価される可能性があります。
総合型選抜入試の対策・準備はいつから始める?
では、本題の「いつから総合型選抜入試の対策を始めればいいのか」ですが、ずばり高校2年生の夏休みまでには将来やりたいことのイメージを持って具体的な行動に移すことが大切です。
その理由とあわせて、総合型選抜入試の対策について詳しくみていきます。
試験で問われるのは学生の主体性と学びへの意欲
まず、これまで述べてきたとおり、総合型選抜入試での代表的な評価方式は次の2点です。
①高校が作成する調査書(内申点や生活態度など)
②面接、学生自らが記入する活動報告書など
①は普段の学生生活の積み重ねであるため、品行方正にしっかりと高校生活を送ってくださいと言うに尽きます。特別な対策があるわけでもなく、かといって過度に気にしすぎる要素でもありません。
重要なのは②です。
②は面接や活動報告書などですが、いずれの試験様式にも共通しているのが、大学側が評価したいのは受験生の主体性と学びへの意欲・態度だということです。
つまり、受験生がこの大学に入って「何を学びたいのか」「学ぼうとする意欲を持ち続けられるのか」「将来どう成長していきたいのか」といった学生像がはっきりと分かり、そしてその学生像が大学側の求めるものと近いかどうかを大学側は見極めたいのです。
大学側が判断するための材料として、受験生は面接の場や報告書をとおして、「自分はこういうことに興味があって、だからこの大学で学びたいんだ」という意志をはっきりと主張、表現しなければなりません。
上記の自己表現をするためにも、具体的な体験エピソードを持つことがなによりも大きな武器となります。
面接で自己表現するためには具体的なエピソードが必要不可欠
大学で実施される面接の多くは、受験生1人vs大学教授複数名の形式が主流です。
なぜなら、受験生を評価する際には、複数の目で多角的に判断し、個人的な好みや趣味嗜好といったバイアスを排除しなければならないからです。
面接する大学教授はあくまでも学問のスペシャリストたちであり、入試のスペシャリストではありません。教授どうしで話し合いを行い、学生の適性を判断していく過程を必ず踏みます。
ということは、面接では複数の大学教授を相手に受験生は自己表現をしなければならず、その場しのぎの知識や情報だけで塗り固めた志望動機などは簡単に見破られて当然なのです。
そんなときに、受験生にとって心強い武器となってくれるのが、実際に「経験したという事実」、すなわち「具体的な体験エピソード」なのです。
体験エピソードの内容は「これくらいの規模や期間でないとダメ」といった決まりはありません。
たとえ、ちょっとした経験であっても、そこに受験生なりの主体性や関心意欲が感じられれば、それはそのまま自己表現として成立します。
そしてその経験は「いつ、どこで、なにをしたのか」「なぜそれをしたいと思ったのか」「それをしてどうしたいと思ったのか」が実体験として受験生にインプットされるため、
面接のような普段慣れない場面においても、嘘偽りなく自信を持って自己アピールすることにもつながってきます。
たとえば、以下のような経験をしたとします。
夏休みの一週間、親戚が経営する民宿のお手伝いをした。幼かったころの記憶とは違って、客層の多くがインバウンド旅行客に移り変わっていたことに驚いた。なかでも衝撃だったのが、もうすでに還暦を迎えている親戚夫婦が、外国人旅行客に対して身振りや手振りを交えながら、完璧に接客サービスをこなしていたことである。
この経験を、大学に入学してからの自分の学びへの関心や意欲、目標につながることで、より説得力のある自己表現が可能となります。
たとえば、国際教養学部を志望するならば、
民宿を訪れた外国人たちの国や文化、価値観をたどることで、世界と日本がどのような繋がりを持っているのかを調べていきたい。
たとえば、メディア情報学部を志望するならば、
インバウンド旅行客から見た日本の良さを再発見し、もっと多くの外国人旅行客を民宿に呼び込むための方法を考えていきたい。
などといったイメージです。(あくまでも例示ですのでご容赦ください)
大切なのは、出来事に対して自分がどう思ったのか、どう感じたのかという感性や視点を魅力的に伝えられるかどうかということです。
それが叶えば、大学側も受験生の学生像をはっきりと想像でき、そこに適性があるならば面接で相応の結果が得られるにちがいありません。
なぜ高校2年生の夏休みまでに準備が必要なのか
高校3年生にもなると、いよいよ受験勉強のピークを迎え、大学入学共通テスト対策や一般入試対策、小論文対策などに時間を割く必要が出てきます。
それに比べ、高校2年生の夏休みまでであれば、時間的なゆとりもあり、様々なことにチャレンジする機会もつくりやすいです。
また、高校3年生の夏休みのように、入試直前にあわただしく体験したことは、もしかしたら付け焼刃の取り繕った経験とみなされるかもしれませんし、早いうちに体験したエピソードほど、後々に発展、肉付けできるような追体験が得られる可能性が高くなります。
ですので、なるべく高校2年生の夏休みまでには、総合型選抜入試を見据えて、より積極的に経験値を増やしていく努力をしていくべきだと思います。
総合型選抜入試の具体的な対策方法
より具体的な対策方法としては、志望する大学の在校生、または卒業生に会って話を聞くことです。
部活の先輩でもいいですし、塾の卒業生でもいいと思います。まずは、自分が志望している大学の中身を知ることが、最も有効な試験対策になります。
大学ではどのような研究がされているのか、どのようなゼミやサークルがあって何が学べるのか、卒業生の進路はどうなっているのか、それらの情報は大学HPや募集要項を見るだけではなかなか見えづらい部分です。
自分と似た世代の、生身の人間から聞く話をもとに、そもそも自分の適性や将来学びたいことが志望する大学と合っているのかを確認することは、大学入学後のギャップ解消にもつながってきますし、
そこに適性を見出せるのであれば、大学に対して自信をもって自分をアピールでき、自ずと良い結果が付いてくるにちがいないでしょう。
ということで、2021年度入試からAO入試に代わってスタートする「総合型選抜入試」について、出願時期や試験内容、対策方法などについてまとめました。
たくさんの受験生の将来の夢や目標の一助となれば幸いです。
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