学校教育

2020年教育改革で小学校で起きる変化とは?

2020年教育改革の内容

2020年4月から小学校では学習指導要領が全面改訂され、教科書も新しくなります。

英語の教科化やプログラミング教育のスタートなど、小学生の保護者が子どもの頃に経験してこなかった改訂内容も多く、不安が募っていくばかりという方も多いことでしょう。

そこで、今回は以下の点について詳しくまとめました。

2020年教育改革とは?
学習指導要領とは?
小学校で何が変わるのか
英語教育とプログラミング教育

1.2020年度から始まる教育改革とは?

2020年教育改革とは

1-1.学習指導要領が約10年ぶりに改訂

2020年4月から小学校で、2021年4月から中学校で新たな学習指導要領が実施されます。前回の改訂から約10年ぶりの改訂となります。(前回:小学校2011年度実施、中学校2012年度実施 *先行実施を除く)

また、改訂を円滑に進めるための準備期間として、小学校では2018年度〜2019年度の2年間、中学校では2018年度〜2020年度の3年間が移行措置期間にあたります。新しい学習指導要領の内容が現在の学習指導要領に追加・省略されるなどして、すでに実施されています。

移行措置とは
新しい学習指導要領を円滑に実施するために、現行の学習指導要領の中で少しずつ新学習指導要領の内容を実施していくことです。いきなり新しい学習指導要領を実施するとなると、教える側の学校の準備が整っていなかったり、「前の学年で習っていないのにもう習っているものとして扱われる」といった不具合が生じたりするおそれがあります。

1-2.センター試験廃止、大学入学共通テスト新設

2020年度から大学入学共通テストが実施されるようになります。2021年1月が初めての実施年となります(2019年4月時点での高校2年生が初の対象)。

大きな変更点は次の2つです。
記述式問題の導入(まずは国語と数学)
英語の4技能評価(読む/聞く/話す/書く)

記述式問題の導入

マークシート方式のみのセンター試験では測れなかった論理的思考力や判断力、表現力を問うために、国語や数学の試験では記述式問題が数問導入されます。また2024年以降では、地歴公民や理科にも導入が検討されています。これらは、「変化の激しい社会において生きるために必要な資質や能力を身につけていく」という2020年教育改革が形となった結果だといえます。

英語の4技能評価

「読む」「聞く」の比重が大きいとされていたセンター試験に代わり、大学入学共通テストでは「話す」「書く」も評価できるように、共通テストに加えて、民間の資格・検定試験も大学の判断で利用できるようになります。

センター試験
・「筆記 80分」
・「リスニング(英語のみ)60分」
   ↓
大学入学共通テスト
①共通テスト
・「筆記(リーディング)80分」
・「リスニング(英語のみ)60分」
②民間の資格・検定試験(TOIECなど)
*各大学は①②のいずれかまたは両方を利用できる

どの試験様式とするかは各大学の判断となるため、受験生は志望する大学にあわせた試験対策や準備が必要となります。また、民間の資格・検定試験については、その受験時期や回数が決められていることもあり、試験会場が近くにない地方の学生には不公平ではないかという意見も聞こえてきます。

 

2.そもそも学習指導要領ってなに?

新しい学習指導要領とは

2-1.学習指導要領の概要

学習指導要領とは、学校がカリキュラム(教育課程)を作成する際の基準とするものです。日本全国どの地域でも一定の教育を受けられるのは学習指導要領が定められているからです。

2-2.改訂の周期

学習指導要領はおよそ10年に1度のサイクルで新しいものに改訂されてきました。

改訂年学習指導要領の内容具体的な変更
平成10年(1998年)21世紀を見据え、ゆとりの中で生きる力を育んでいくことを重視する(=「ゆとり教育」と揶揄される)「総合的な学習の時間」の新設
平成20年(2008年)ゆとりでも詰め込みでもない、知識や技能、思考力や判断力、表現力などの生きる力を育んでいくことを重視する「小学校外国語活動」の新設、授業時数の増
平成27年(2015年)一部改正道徳「特別の教科」化
平成30年(2018年)新学習指導要領(幼稚園から順に全面改訂へ)「小学校英語教科」化、「プログラミング教育」

文部科学省HP:学習指導要領「生きる力」『保護者用パンフレット(平成22年作成)』より

 

3.教育改革のポイント

英語とプログラミング教育

3-1.新学習指導要領の3つの柱

新しい学習指導要領では、「子どもたちが自らの手で未来社会を切りひらいていけるように資質・能力を育んでいく」ことを重視しています。すなわち、「社会で生きていくために何ができるようになるのか」を明確にして、次の3つの柱で再編成しています。

⑴ 知識、技能

→なにを理解・会得しているか。

⑵ 思考力、判断力、表現力など

→理解・会得したことをどう使うか。

⑶ 学びに向かう力、人間性など

→そして、どのように社会に関わっていくのか。

3-2.小学校での具体的な変化

⑴小学校英語教育の充実

3・4年生5・6年生
現行学習指導要領なし外国語活動(年間35コマ)
新学習指導要領(2020年度~)外国語活動(年間35コマ)英語教科化(年間70コマ)
移行措置期間(2018年度~2019年度)外国語活動(年間15コマ)英語教科化(年間50コマ)

これまでの小学校では、5・6年生で週1コマ(年間35コマ)の外国語活動を実施してきました。ただし教科としては位置付けず、音声や表現に慣れ親しむことを中心としていました。それに対して新しい学習指導要領では、3・4年生で外国語活動が、5・6年生では新たに教科として英語が新設され、教科書をもとに授業が実施されることになります。また、2018年度〜2019年度は移行措置期間にあたり、3・4年生は年間15コマ、5・6年生は年間50コマの英語学習が現在行われています。

⑵プログラミング的思考の育成

プログラミングは教科化されるわけではなく、各教科などの中でプログラミング的思考を身につける活動が実施されます。このプログラミング的思考というのは、目的に対して論理的に考えていく力(論理的思考力)のことをいいます。

 

4.これから求められる力とは?

「課題発見・解決能力」「論理的思考力」
これまでの社会とこれからの社会で大きく異なるところは、「知識(情報)を持っているか」ではなく「知識(情報)をどう使えるか」が大切になってくるということです。十数年前まではインターネットも普及し始めたところで、知識や情報を持っていることが重視されていました。ところが、スマホの普及によって、知識や情報は「だれにでも等しく与えられるもの」として様相を変え、社会に溢れることとなりました。つまり、「知識や情報の有無」では他者との違いや評価の基準とはならなくなり、むしろ知識や情報を「どのように生かすのか」という「使い方」の部分がより重視される社会になってきたのです。

新しい学習指導要領では、そのような社会の状況を踏まえ、ほんとうの意味で子どもたちが社会で生きていける力、すなわち「生きる力」を育んでいけるように、これまでの「知識偏重」からの脱却を図ろうとする強い意志が感じられます。そしてそれは、「なにに対して問題意識を持ち、どのように問題を解決していくのか」という「課題発見・解決能力」や「論理的思考力」を重要な資質として捉えており、今後の教育においてそれらの能力が重要なキーワードとなっていくことは明らかです。

「言語能力」
では、それらの能力を伸ばしていくためには、どのような学習が必要となってくるのでしょうか。新しい学習指導要領では、教育内容の主な改善事項の一つに「言語能力の確実な育成」を挙げています。(文部科学省HP『幼稚園教育要領、小・中学校学習指導要領等の改訂のポイント』より

思考力や判断力などの「知識を活用する力」を育成するためには、そのもととなる「言語能力」が必要であり、それらの能力を高めるための言語活動を充実させることはきわめて重要です。とくに、言語活動の中心となる国語科においては、「語彙力を伸ばす」学習が改訂のポイントとしても挙げられており、今後ますます「知っている言葉を増やす」「使える言葉を増やす」ための学習が積極的にされるようになります。

子どもの語彙力とは学校だけで育まれるものではなく、ご家庭のなかでも育まれていきます。子どもの問いかけに対して単語一言で返答してはいないでしょうか。子どものささいな「なぜ」という疑問に気付いてあげられているでしょうか。親の意識ひとつで、子どもの日常はすばらしい言語学習の場となり得ます。ぜひ、親子のコミュニケーションを通して、子どもに無理のない学習環境を整えてあげてください。