新型コロナウイルスの影響を受けて、自宅で読書を推進するように文科相が参院予算委で答弁しました。小学校が休校となって1週間以上が経ちましたが、さらに10日のイベント自粛を企業に要請するなど、いまだ感染収束の目途がたっていません。
休校期間中ずっと自主的に問題集を解いたり、教科書の復習をしたりするのは難しいものなので、これを機に読書にチャレンジしてみるのはいかがでしょうか。
2018年PISA調査の結果が公表され、「また日本の子どもたちの読解力が低下した!」と話題にもなりましたが、読解力を下支えするのは、国語科で培われる語彙力や表現力といった言語能力であることはいうまでもなく、そしてそれらを効果的に高めてくれるのが「読書」であり、新学習指導要領のなかでも読書活動の充実が図られています。
そこで今回は、長い休校期間中に、小学生が読んでほしい読書の数々をまとめてみました。次の観点で紹介しています。
読解力アップに読書が効果的な理由
小学生が読書を好きになる方法
小学生にオススメの本10選【男の子】
小学生にオススメの本10選【女の子】
子どもを読書好きにして「国語が得意になってほしい」と願う親御さんにとくにオススメなので、学校が休みの間、1冊だけでも買い与えてみてはいかがでしょうか。
読書が国語の成績を伸ばす理由
国語の力とは、「話す・聞く・書く・読む」の4領域ですが、読書は「読む力」だけを高めてくれるのではなく、「話す力」「聞く力」「書く力」といったすべての国語力を底上げする効果があります。
なお、ここで述べている読書の対象となる文種は、「小説(フィクション・ノンフィクション)」や「随筆」といった物語形式であり、「説明文」や「論説」のような論理形式のものを対象とはしていません。
読書効果×「三次元復元力 」
読書をすることで高められるのが、物語を頭のなかで再構築する力、すなわち「三次元復元力」です。
物語の作者は、頭のなかでイメージした三次元を読み手に伝えるために、文章という二次元で表現します。それこそ、自分が思い描いた物語を読み手の頭のなかに忠実に再現してもらうために、心理描写や情景描写にあくせくしながら文字をつむぎ出していきます。
読み手はその作者が表現した文章という二次元から、作者のイメージをくみ取り、様々に思いを巡らしながら三次元の世界に物語を再構築していきます。
この二次元を三次元の世界に復元する力こそが「書く力」や「話す力」といった国語力を高めてくれるのです。
つまり、自分の体験や気持ちは自分にしか見えない三次元の中にあるので、文章や言葉という二次元に置き換える必要があり、
読書は、この「二次元⇔三次元」という置き換え(表現)をスムーズにする訓練であり、もっとも手軽で、かつ小学生でも無理なく取り組める学習法でもあるのです。
読書効果×「共感力 」
もう一つ、読書で伸びる力としては、登場人物に自分を重ねる「共感力」があります。
本を読むことが、映画やアニメを見ることと大きく異なるのは、さきほどの「三次元復元力」が培われることはもちろん、この「共感力」が高められる点にもあります。
映画やアニメを見るときは、物語を第三者(視聴者)の視点で外から見ているのに対し、本を読むときは、物語に入り込んで登場人物(当事者)の視点で内側から参加しています。
これにより、読書中は様々な場面に自分の身をゆだねて、人物の感情をより身近に想像することができ、やがてそれは人の話を聞くときに相手の気持ちになって考えられたり、自分が話をするときも相手のことを考えて話をしたりすることにつながります。
「三次元復元力」や「共感力」といった力は、ひとくくりにすると「読解力(想像力)」に置き換えることができ、小学生低学年の時分から様々な本に触れることで養っていくことが可能です。
読書と読解力の関係について、データを基に詳しくみていきます。
読書と読解力の関係
PISA2018から見えた読書の重要性
2018年度実施のPISAの結果をみると、日本の子どもたちの読解力は近年著しく低下傾向にあることがわかります。
PISAとは、学習到達度調査の略称であり、OECD(経済協力開発機構)加盟国37か国の15歳の子どもを対象として3年ごとに実施され、「読解力」「数学的リテラシー」「科学的リテラシー」の3分野で国別成績を出す。
日本の場合は高校1年生が対象となり、数学と理科のレベルは世界1位、2位をキープする高水準となっているものの、読解力だけは低下傾向にある。
2015年からコンピュータを用いたテスト(CBT)に移行したことで、画面から情報を読み取って答える読解力テストに慣れていない日本の高校生には不利だったともいわれています。
テストとあわせて実施される「生徒質問調査」によると、「読書が好き」と答えた生徒ほど「読解力の得点が高い」という結果がでており、
さらに興味深いことには、フィクションや新聞のみならず「マンガをよく読む生徒」も「読解力の得点が高い」という傾向が見られました。
学校教育で再認識された読書の重要性
2020年から小学校で全面実施となった新学習指導要領のなかでも、学校教育における読書の重要性が明記されています。
「読書は、国語で育成を目指す資質・能力をより高める重要な活動の一つである(中央教育審議会答申/文部科学省)」とされ、国語の学習が読書活動につながるように学習指導要領が改訂されました。
「学校の図書館を利用して本から情報を得る」といった言語活動例が示されたこともあり、これからの学校の授業では読書と関連した活動が増えるようになります。
小学生が読書を好きになる方法
小学生低学年が読書好きになる方法を、実際に筆者や周囲の読書好きにリサーチしながら、共通して効果的だと判断できるものをまとめています。
小学生が本好きになる方法①「読書をほめてあげる」
「読書に集中しててえらいね」「そんな本読んでるの?すごいね~」といったように、子どもが本を読んでいるのを見たら、とにかくほめてあげることが大切です。
たとえ、文字が少なく絵本のような本であったとしても、「本を読んでてすごい!」と肯定されることで、子どもは「読書=ほめられる」とポジティブなイメージを持つようになります。
読書好きの大人に聞いてみると、やはり子どものときの家庭環境が「読書に前向き」であったという共通点があり、子どもが自然に本好きになる環境づくりこそが大切だとわかります。
小学生が本好きになる方法②「月に1回本屋で読みたい本を選ばせる」
子どもが少しでも読書をするようになったら、一度本屋さんに一緒に行って、好きな本を一冊選ばせてください。
読みたい本を自分で選び、お金を出して買うという行為は、まさしく「大人に仲間入り」したように感じさせ、子どもの読書への意欲を高めてくれる効果があります。
そして、月に1回本屋さんで本を買うという習慣をつくることで、「今月はこの本を読む」と決めることができ、また「来月はどの本を買ってもらおう」とわくわくさせることで、読書に対してより前向きな気持ちになっていきます。
図書館で本を借りること
もちろん本を買わずとも、市立図書館に連れていってあげて、好きな本を借りることも効果的です。
自分が読みたい本を好きに借りられるだけでなく、次の返却のときにまた新しい本に出合えることから、読書が途切れることなく常に子どものそばにあります。
小学生の読書にオススメの本10選<男の子編>
二分間の冒険
本がキライな子でも楽しく読めるのでおすすめです!
飛ぶ教室
クリスマスの学校で起こる事件を子どもたちが解決していく様子が面白くてカッコいい!
かいぞくポケット
可愛い挿絵も多くて、マンガに近いので読みやすいです。
注文の多い料理店
途中からぞわぞわしてくる展開に、本のおもしろさを発見するチャンスです。
エルマーのぼうけん
竜の子と男の子の冒険に、男の子はワクワクすることまちがいなしです!4冊シリーズなのもgood!
ドリトル先生シリーズ
映画化もされているので、読書ぎらいでも読みやすいシリーズです。
パスワードは、ひ・み・つ
この1冊からミステリー小説にはまる可能性があります!
三国志
小学生低学年には文字が小さいですが、ストーリーに引っ張られて楽しく読み進めることができます。
ふしぎ駄菓子屋 銭天堂
読み出すとおもしろくて一気に読み終えてしまいます。
きまぐれロボット
星新一のショートショート傑作集です。
小学生の読書にオススメの本10選<女の子編>
ふたりのロッテ
ドイツ児童文学の巨匠ケストナーの名著で、子どもの共感を得るのが上手すぎます。
大草原の小さな家シリーズ -大きな森の小さな家
心温まる文章表現に、女の子はほっこりすること間違いなしです。
いやいやえん
子どもの心をくすぐる表現が多く、男の子にもオススメです。
チョコレート工場の秘密
映画を見て好きになったなら、読書にもオススメできる一冊です。
赤毛のアン
11歳の女の子アンの学生生活に、女の子は自身を重ねながら物語を読み進めることができます。
窓ぎわのトットちゃん
ノンフィクションの小説一冊目にオススメです。
まる子だった
とにかくおもしろいので、読書が苦手な子にもおすすめです。
いちご
恋愛や学校での悩みなど、ハートフルな文章に大人も思わず感動してしまいます。
モモ ミハエルエンデ
「時間とはなにか」という深いテーマを、主人公の女の子を通して考えることができます。
魔女の宅急便
映画を見てから読むことで、物語を読むことの楽しさに気づける素晴らしい作品です。
今回紹介した本は、小学生のみならず大人が読んでも楽しめるものばかりです。最近、本を読んでいない方や読書を始めたいと思っている方は、これを機に一冊読破してみてはいかがでしょうか。