プログラミング

小学校のプログラミングに教科書がない理由

小学校のプログラミングに教科書がない理由

―2020年4月から小学校が新課程となり、新たに「プログラミング」が必修化されます!

という話を聞き及んでいたので、

保護者
保護者
さてさて小学生のプログラミングの教科書ってどんなものかしら

と好奇心で教科書を手に取ろうとした保護者の方は一様に首を傾げることかと思います。

保護者
保護者
…あれ?プログラミングの教科書が見当たら…ない?

そうなのです。小学生のプログラミングに「教科書はない」のです。

ということで今回は、今年度から小学校で必修化され、保護者の方々にとってはいまだ謎のベールに包まれた「プログラミング教育」について、その疑問の数々をまとめて解消していきたいと思います。

こんな疑問を解消します

プログラミングの教科書がない理由
何年生からプログラミングを習う?
プログラミング教育では何を習う?
プログラミング的思考力とは?
プログラミングの授業イメージ

 

小学校のプログラミングに教科書がない理由

小学校のプログラミングに教科書がない理由

小学校のプログラミングに教科書がない理由を一言で済ましてしまうならば、そもそもプログラミングは教科ではないからです。

全国一律の教育を保障する指針「学習指導要領」の授業時数を見るとはっきりとわかります。

各教科の年間授業時数(一単位45分)

1年2年3年4年5年6年
国語306315245245175175
社会7090100105
算数136175175175175175
理科90105105105
生活102105
音楽687060605050
図画工作687060605050
家庭6055
体育1021051051059090
外国語7070

ご覧いただいたらわかるとおり、「プログラミング」という教科はなく、また、プログラミングをするための時間自体がはっきりと区分されてはいないのです。

保護者
保護者
え、じゃあどこでプログラミングを習うの?

と疑問に思われた方もいらっしゃると思いますが、安心してください。ちゃんとプログラミングは授業のなかで習います。

ナビこ
ナビこ
知らなかった~!「必修化」するって聞いて、てっきり教科になると思ってた!
ナビまる
ナビまる
そうなんだよ。誤解している人が多いんだけど、「プログラミング必修化=プログラミング必修科目」じゃないんだよ。つまり、プログラミングだけを習う教科はなくて、小学校はもとより高校だって「情報」という教科のなかでプログラミングを習うにすぎないんだよ。

 

プログラミングはいろんな教科と一緒に習う

プログラミングはいろんな教科と一緒に習う

それでは、高校でいう「情報」のような科目がない小学校ではどのようにプログラミングを習うのかですが、算数や理科、図工といった複数教科のなかで習うことになります。

以下は、2020年以降の小学校教科書で実際に習うこととなるプログラミングを扱った単元や題材名です。【参考:「小学校を中心としたプログラミング教育ポータル」より

教科・学年単元名・題材名
算数1年・プログラミングにちょうせん!ゴールをめざそう
・プログラミングのプ・ロボくんをおもいどおりにうごかしてみよう
算数2年・プログラミングにちょうせん!すごろくゲーム
・プログラミングのロ・ロボくんに「ハノイのとうのリングのうつし方」を教えよう
算数3年・プログラミングにちょうせん!数あてゲームをしよう
・プログラミングのグ・ロボくんに「重さのちがうもののさがし方」を教えよう
算数4年・プログラミングにちょうせん!アルゴリズム
・プログラミングのラ・ロボくんに「一筆がき」の方法をおしえよう
算数5年・プログラミングを体験しよう!倍数を求める手順を考えよう
・プログラミングを体験しよう!正多角形をかく手順を考えよう
・プログラミングにちょうせん!正多角形をかこう
・プログラミングのミ・正多角形をかかせてみましょう
・正多角形と円・プログラミングにちょう戦しよう
・わくわく算数ひろば/図形をかくプログラムをつくろう
・倍数について調べよう
・正多角形と円/プログラミングを体験しよう
算数6年・プログラミングを体験しよう!数の並べかえ方を考えよう
・プログラミングにちょうせん!グラフをかこう
・プログラミングのグ・ロボくんに「量や数を小さい方から順にならべる方法」を教えよう
・円のおよその面積を求めよう
・わくわく算数ひろば/算数ラボ(条件に合う整数を見つけよう)
理科6年・電気と私たちのくらし/電気の有効利用/プログラミングをやってみよう
・私たちの生活と電気/プログラミングを体験してみよう!(きそへん・応用へん)
・電気と私たちの生活/プログラムやセンサーの利用/LEDを点めつさせるには,どのようなプログラムが必要だろうか
・電気の利用/プログラムを作成してコンピュータに命令を出してみよう
・電気の利用/人がいるときだけ明かりがつく装置を作るには、どうしたらよいだろうか
・発電と電気の利用/「プログラミング」を体験しよう
図工5/6年・つながる造形/技術の発達と表現の広がり
家庭5/6年・生活の中のプログラミング
外国語5年・Where is your treasure? 宝物への道案内をしよう/プログラミングで道案内

主にプログラミング教育は小学5・6年生に習いますが、教科書によっては小学1年生からプログラミングに関する教材があるものもあります。

なかでも算数はプログラミング教育とも関わりが深く、正多角形をプログラミングで描いたり、位置を座標で表して指示どおりにロボットを動かすなど、教科特性上、算数とプログラミングはきわめて親和性が高いと考えられています。

なぜプログラミングを複数教科で習うのか?

このように、複数教科を横断してプログラミングを学習するようになるのも、学習指導要領の解説のなかで次のようにプログラミング教育が位置付けられているところにもよります。【文部科学省より

●各教科等の特質に応じて、次の学習活動を計画的に実施すること

①児童がコンピュータで文字を入力するなどの学習の基盤として必要となる情報手段の基本的な操作を習得するための学習活動

②児童がプログラミングを体験しながら、コンピュータに意図した処理を行わせるために必要な論理的思考力をみに付けるための学習活動

①はローマ字学習やタイピング練習といった、いわゆるコンピュータを操作するための基礎学習になります。小学校では国語の授業を中心に学習する機会があります。

一方で②は、まさしく今回の小学校教育の改訂主旨である「思考力や問題解決力を養う」という目標が表出したかたちになります。つまり、教科を問わず、さまざまな場面で「考える力を付けるための教育をしていこう」というねらいが存在します。

したがって、「プログラミング必修化」という言葉には、知識ばかりを身につけていくのではなく、論理的思考力や問題解決のためのプログラミング的思考力をこれからはすべての教科で重視していく、という強いメッセージが込められてもいると読解することができるのです。

プログラミング的思考力を詳しく解説!

プログラミング的思考と論理的思考の違い
プログラミング的思考と論理的思考のちがいとは?文部科学省が説明するプログラミング思考とはなにか。論理的思考との違いを、小学校で始まるプログラミング教育に先駆けてまとめています。...

 

プログラミングの授業イメージ

プログラミング授業のイメージ

小学校のプログラミング教育について、もう一つ多くの方が誤解していることがあります。それは、小学校でもパソコンを使ってプログラミングコードを書く授業があるんだと勘違いされていることです。

実はこれはまったくの見当違いで、小学校ではプログラミング言語やコーディングについては一切学習しません。(活動のなかでプログラミング言語を知るといった機会はあるかもしれませんが、それらの知識や技能習得は本来の目的ではありません)

また、中学校でも知識として少し触れる程度で、高校で新たに教科として設立された「情報」の授業ではじめて学習するようになります。

高校の情報Ⅰの授業と必修化
高校の「情報科」の授業は2022年にどう変わる?プログラミングも学習するのか2022年に高校の新学習指導要領が全面実施され、情報科の教科書が改訂されます。新たに必修科目として「情報Ⅰ」、選択科目として「情報Ⅱ」が新設。内容や授業の変化、プログラミング、2024年度から大学入試で必修化されることについて。...

ですので、小学校のプログラミング授業というのは、コンピュータやプログラミングの知識・技能を獲得するのが目的ではなく、あくまでも問題を解決するための論理的思考力やプログラミング的思考力を身につけようとするのが目的です。

ナビこ
ナビこ
ってことはパソコンは必須じゃないってこと?
ナビまる
ナビまる
うん、一番大事なのは自分で問題を発見して、解決方法を導き出していくプログラミング的思考力だね。これからの社会で子どもたちが活躍していくのに必要不可欠な力なんだよ。

その一方で、プログラミング必修化の背景には、国内から優秀なIT人材を輩出できるようにプログラミングそのものの裾野を広げていくというねらいもあり、

生徒にとってコンピュータをより身近なものとするために、「2025年までに学校に一人一台PCを配備する」という「GIGAスクール構想」が動き出しているのです。

GIGAスクール構想はいつからいつまで小学校
GIGAスクール構想はいつからいつまでに実現?小学校と中学校はどう変わるのかギガスクールネットワーク構想は、いつから本格的に開始され、いつまでに達成することになるのか。その目的や実現ロードマップ、小学校や中学校、高校といった学校教育の現場はどのように変わるのかをまとめました。...

ICT教育やEdTechなど、民間企業を中心にさまざまな技術革新が教育分野でも進められています。ですが、それらの新技術がいかに優れていても、正しく活用できなければまったく意味を成し得ないものとなってしまいます。

小学校のプログラミング教育は、まさしくそういった新たな技術を最大限活用できるようにするための施策でもあり、そして、これからの学校教育そのものを変えていこうとする強い意志の現れでもあるのです。