プログラミング

ブロックチェーンを教育現場で応用・活用する事例を考えてみた

ブロックチェーンの教育現場での応用・活用事例

ブロックチェーンの技術を活用することで、教育現場が抱える課題を解決することができるかもしれません。

仮想通貨のイメージが強いブロックチェーンですが、実は学校教育との相性がよく、将来的にはブロックチェーンの技術を応用した様々な学習管理システムや校務支援システムが開発される可能性があります。

そこで今回は、初めて「ブロックチェーン」という言葉を知ったという方にも分かりやすいように、

ブロックチェーンとはなにか?
ブロックチェーンでできること
ブロックチェーンの実用例
ブロックチェーンの教育的応用

といった、「ブロックチェーン×教育」の応用や活用方法について、詳しくまとめてみました。ブロックチェーンの技術が用いられることで、将来実現される可能性がある教育現場の変化についても言及しています。

 

ブロックチェーンとはなにか?

ブロックチェーンとはなにか

ブロックチェーンとは、複数のコンピュータがデータを共有し合うことで、敵意ある他者からのデータ改ざんを防ぎ、常に安全で透明性の高いネットワークを構築する仕組みです。分散型台帳技術ともいわれます。

もともとは、仮想通貨「ビットコイン」を支える技術として考案されましたが、「理論上改ざんが不可能」というデータ生成の安全性の高さから、「インターネット以来の発見」ともいわれており、様々な分野での活用・応用が期待されています。

ブロックチェーンの特長・メリット

ブロックチェーンには、次のような特長・メリットがあります。なお、ここで説明しているブロックチェーンとはパブリック・ブロックチェーンのことを想定しています。

・データが暗号化される
・データを分散管理する
・エラーの相互確認

ブロックチェーンは一つのコンピュータが中央集権的にデータを管理するのではなく、ブロックチェーンを利用する人それぞれのコンピュータで管理されます。

そのため、敵意ある他者から一つのコンピュータに攻撃が集中するといったことがなく、たとえ改ざんによるエラーが起こってもすぐに発見され、不具合が起きた箇所を正しいものに修正することが容易なのです。

ブロックチェーンの仕組みイメージ

ブロックチェーンネットワーク参照:NTTテクノクロス

実行されたデータはブロックという形で保存され、そのブロックは前後のブロック情報を含んだ数珠つなぎ(チェーン)のように時系列で管理されます。

約10分間隔でこれらのブロックが次々に生成されていき、データはすべて暗号化されているため、改ざんが理論上不可能であるとされています。

 

ブロックチェーンの応用事例

ブロックチェーンの応用事例

改ざんが不可能で安全なこと、中央で管理する必要なく、個人間での取引に優れているなどの理由から、仮想通貨をはじめとした金融関係での利用の多いブロックチェーンですが、様々な業種やサービスにも応用され始めています。

ブロックチェーンの応用①「投票システム」

2018年のつくば市で、日本初のブロックチェーンを用いたインターネット投票が行われました。
「つくば市HP」

ブロックチェーンとマイナンバーカードを活用することで、「時間や場所に捉われない」「投票処理速度の向上」「投票先の確認や上書き投票が可能」といった新しい投票スタイルを確立しており、若者の政治離れ、選挙離れといった社会問題の解決手段になり得るかもしれません。

ブロックチェーンの応用②「著作権の管理」

2018年、ソニー株式会社はブロックチェーン技術を応用したデジタルコンテンツの情報処理システムを開発しました。
「ソニー株式会社」

情報の改ざんができないブロックチェーンを基本とした著作権管理システムを確立したことで、膨大な著作物データの「作成」「登録」「証明」「照合」「共有」といった管理全般が円滑になり、それらの管理コストの削減にも成功しています。

ブロックチェーンの応用③「自動車のセキュリティ」

2019年、株式会社デンソーは車載データをブロックチェーン技術をベースに設計することで、自動車のセキュリティを高めるプロダクトを発表しました。
「株式会社DENSO」

これは、「絶対にデータの改ざんが許されない」自動車の自動運転技術の到来に向けて、車がハッキング被害にあわないために設計されたセキュリティ技術です。

 

ブロックチェーンを教育で応用する方法

ブロックチェーンと教育

教育への応用①「成績評価の活用で一回限りの受験システムからの脱却」

2020年大学入試改革の一環でもあった「英語の外部試験の導入」は、2024年度まで見送りとなってしまいましたが、もともとの導入理由の一つに「一回限りの受験システム」そのものを変えていこうというねらいがありました。

つまり、たった一回の試験によって受験生の実力を図るのではなく、期間中であれば何度も試験を受けられて、成績・実力を証明することができるようにするというものです。それにより、受験中心となってしまっている学校教育そのものを見直すきっかけになるとも考えていました。

ナビまる
ナビまる
学校によっては、高校3年生の中盤ではほとんど受験勉強しかしなくて、学校が形骸化していることはままあるからね。中学は高校のため、高校は大学のため、と「先の準備」ばかりしていたら、ほんとにそのときに学ぶべきことがおろそかになってしまう恐れがあるよね。

外部試験によって得られた資格や評価は書類などで証明することが容易ですが、学校教育内で評価された生徒一人一人の通知表やテストの点数といった成績は、個人情報守秘の観点からもデータとして管理することは現実的ではありません。

ですが、それらを「安全かつ改ざんのおそれがない」ブロックチェーンの技術を用いて、適切に活用することができれば、「小中一貫」「高大接続」といった言葉が表しているように、進学によって、ある意味「リセット」されてしまう学校教育そのものを見直す手段となり得るかもしれません。

教育への応用②「学習履歴や課外活動を蓄積・公開し、学び(強みや特性)を「見える化」する」

ブロックチェーンの技術を活用する方法として成績管理について触れましたが、さらに発展させると企業が学生を評価する場面、就職活動の際にも応用が利くと考えます。

企業が学生を採用するときの課題は、学歴や資格有無といった目に見えた判断基準とは別に、学生の性格や特性、学生時代の経験、興味関心といった目に見えない部分をいかに判断できるかです。

企業の求める人物像と、学生の性格や働くモチベーションがかけ離れていると、採用しても離職につながることから、これらのギャップが生じないようにすることは双方にとっても重要です。

その点、ブロックチェーンの特性でもある、中間に管理者がいないために契約や決済が迅速かつ適切に行われる仕組みを応用すれば、

たとえば、学生自身が自らの学生時代の経験や興味関心をデータとして蓄積しておき、企業に対して自らの特性や強みとしてアピールすることで、そのようなギャップを解消することが可能になります。

ブロックチェーンのデータが、誰にも改ざんされない(学生自身にも)確固たるデータとして機能することで、学生の経験や特性がそのまま一種の「資格」となり得るのです。

学校教育での課外活動について

高等学校においては、「総合的な探求の時間」として、ボランティア活動や自然体験、職業体験といった学校以外での課題研究や探求的な学習をする科目が2019年度から新設されました。

授業をとおして生徒自ら課題を設定し、研究、発表することで、実社会で生きていくうえで必要な力を身につけていきます。学習指導要領の改訂により、小学校や中学校でもこの「探求力」を養うことが重要だとされています。

このような課外活動は、そのときに評価されることはもちろん、学生時代の興味関心や学習意欲・態度を示す指標の一つでもあります。ブロックチェーンの技術のもとに形成されたプラットフォームのなかで、正しくデータとして蓄積し、生徒の将来に生かす仕組みづくりが必要となってくるのです。

教育への応用③「校務管理システムの改善」

ブロックチェーンは児童生徒だけでなく、学校現場で働く教員にたいしてもメリットを打ち出すことが可能です。

最近はICT機器やEdTech(エドテック)といった教育とテクノロジーが融合されたサービスや仕組みが生まれていますが、その背景には長時間過密労働が常態化している教育現場の働き方を改善しようとする動きが高まっているからです。

ブロックチェーンは分散管理のためデータが危険にさらされる心配がなく、また、データを暗号化したうえで管理するため、個人情報保護の観点でも安全・安心なシステムだといえます。

校務といえば、テストの採点や進路選択、成績管理など個人情報であふれていますが、それらをブロックチェーンのシステムのもと適切に管理できるようになれば、これまで安全性の問題から利便性を排除していた可能性のある校務についても、より効率的に取り組むことが可能となります。

ということで、ブロックチェーンによる教育現場での応用についてまとめました。

ソサエティ5.0という、これまでの人類では考えもつかなかった未知なる時代の到来において、ブロックチェーンは欠かすことのできない技術革新の一つです。今後生まれる様々な商品やサービスに期待しましょう。

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